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多発性嚢胞腎とは|症状・検査・治療法を専門医が解説

[2025.06.03]

こんにちは、赤羽もりクリニックの院長の森 維久郎です。

多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)とは、のう胞という液体の塊が腎臓に出来て元々の腎臓の組織が圧迫されていく病気です。

日本人では約5000人に1人がなる最も多い遺伝性腎疾患です。

根本的な治療法はまだ見つかっていませんが、ここ20年ほどで治療方法も見つかりつつある病気です。

*この記事は赤羽もりクリニックの院長の森医師が監修しております。

多発性嚢胞腎とは

多発性嚢胞腎とは、のう胞が腎臓に多数できて、腎臓が圧迫されることで障害が起きます。

遺伝性の病気で、60-70歳頃に約半数が透析に至り、日本で透析になる人の2-3%がこの多発性嚢胞腎が原因で透析になります。

 

多発性嚢胞腎の症状

多発性嚢胞腎は、初期の段階では無症状です。

そのため健康診断や人間ドックで超音波検査やCTをした時に見つかることが多いです。

進行すると、以下のような症状が出ます。

  • お腹がはる
  • お腹や腰が痛い
  • 尿に血が混じる など

この病気は、腎臓だけでなく、肝臓、膵臓、脾臓などにものう胞ができます。

腎臓以外にも、以下のような注意すべき合併症があります。

  • 高血圧
  • 脳の血管にコブができる(動脈瘤と呼びます。)
  • 心臓の扉がうまく閉じない
  • 尿路結石 など

 

多発性嚢胞腎の検査

問診

まずは問診で以下のようなことを聞きます。

  • 今までにかかった病気について
  • 家族に同じような症状の方がいるか(脳卒中で若くになくなった家族がいないか)
  • 血尿が出たことがあるか など

 

採血・採尿・画像検査

必要に応じて、採血などの検査を行います。

  • 採血検査:クレアチニン、eGFR など
  • 採尿検査:尿蛋白、尿中赤血球数、赤血球変形率 など
  • 画像検査:CTでのう胞があるか など

 

多発性嚢胞腎の治療

多発性嚢胞腎では以下のような治療を行います。

  • 食事、生活習慣の治療
  • 薬物治療
  • 合併症のチェック

食事の治療

食事は塩分制限を中心に行います。

近年、カロリーを減らした方が病気の進行を遅くする可能性があると言われていますが、まだ細かいところまではわかっていません。

カフェインはよくないという報告もありますが、これもまだ細かいところまではわかっていません。

 

水分補給

1日2.5〜4リットルの水を飲むと、腎臓の障害を抑えると言われています。

これはバソプレシンというホルモンを押さえ込み、しっかり尿を出すことでのう胞が大きくなる速度を抑えるというメカニズムで起きると考えられています。

 

薬物療法

くすりの治療としてまず血圧の治療が重要です。

血圧の治療の効果として以下のようなものがあります。

  • 腎臓をまもる
  • 脳出血を防ぐ など

次に、以下のような患者さんにはトルバプタン(サムスカ)というくすりを使用します。

  • のう胞が大きい(750ml以上)
  • のう胞が年々大きくなっている(5%/年以上)

トルバプタンで透析になるスピードを遅らせることが出来ます。

一方で肝臓の障害や、ミネラルの調整不良などリスクもあるので定期的な採血が必要です。

 

合併症のチェック

多発性嚢胞腎は、色々な臓器に異常がでるので以下の検査を定期的に行います。

  • 心臓エコー
  • 頭部CT・MRI

とくに脳の動脈瘤は、出血につながります。40.50代の若い患者さんでも脳出血が起きることがあるので注意が必要です。

 

多発性嚢胞腎の注意点

以下の場合は注意が必要です。

  • 血尿がでた時
  • 感染が起きた時

血尿がでた時

50%ほどの患者さんで血尿がでることがあります。

これはのう胞が破裂して起きるもので、多くは自然に治ります。

しかし出血が止まらない場合は、手術(血管治療・腎摘除)が必要になることもあります。

 

感染がおきた時

50%ほどの患者さんで尿や、のう胞に感染がおきることがあります。

のう胞の感染は、抗生物質が効きづらいので、早期治療をした方が良いです。

入院につながる場合もあるので注意が必要です。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?

多発性嚢胞腎は自覚症状が出にくく、発見が遅れると透析に至ってしまうリスクもある病気です。

しかし、早期から適切に管理すれば、透析導入を遅らせたり合併症を防ぐことが可能です。

赤羽もりクリニックでは、定期的な採血・画像検査によるのう胞のサイズ確認や血圧コントロール、水分療法などを通じて、病気の進行を抑えるサポートを行っています。

「自分ののう胞の大きさや進行度が心配」「家族に多発性嚢胞腎の人がいる」などのご相談は、ぜひお気軽にご連絡ください。

当院の診療に興味がある方は以下の当院紹介をご覧くださいね。

この記事を監修した医師
森 維久郎

赤羽もりクリニック院長、日本腎臓学会腎臓専門医。人工透析を減らす診療をコンセプトに年間1万人以上の外来診察を行う。 情報発信に力を入れており、合計4冊書籍を出版、YouTubeチャンネル「じんぞうの学校」を運営、チャンネル登録者3万人以上。 

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