クレアチニンが高いとどうなる?検査の基準値・原因・症状を徹底解説
こんにちは、赤羽もりクリニックの院長の森 維久郎です。
今日は「クレアチニンが高いとどうなる?」というテーマでお話しします。腎機能の低下は自覚しにくい分、見逃してしまいがちですが、早期の対応で進行を防ぐことが可能です。
健康診断でクレアチニン値が高いと言われて不安に感じている方、また腎臓の健康に不安を抱えている方は、ぜひ最後までお読みいただきたい内容です。
クレアチニンの基準値と腎機能の関係
クレアチニンの基準値
クレアチニンの基準値は、男性0.61~1.04mg/dl・女性0.47~0.79mg/dlです。クレアチニンは、筋肉の代謝によって体内で自然に生じる老廃物の一つで、通常は腎臓でろ過され尿として排泄されます。
ところが腎臓の働きが弱くなると、クレアチニンを十分に外へ出せず血液の中にたまってしまうため、血液中のクレアチニンの量を調べることで、腎臓の機能を知る目安になります。
クレアチニンとeGFRの関係
eGFR(推算糸球体濾過量)は、クレアチニン値を特別な計算式に組み込むことで算出される「腎臓が1分間にどれくらい血液をろ過できるか」を示す数値です。健康な人の腎臓を「100点満点」としたときに、現在の腎臓が何点かを示すイメージです。
慢性腎臓病(CKD)は次に掲げる2つのいずれか、あるいは両方が 3か月以上持続する場合に診断されます。
クレアチニンが高いとどうなる?
むくみや倦怠感など症状
クレアチニンが高くなると、腎臓の機能が低下して腎臓が老廃物をうまく排泄できず、体内に毒素がたまります。その結果、顔や手足のむくみ・倦怠感・食欲不振・貧血や骨粗鬆症などの症状が現れることがあります。
特に慢性的に腎機能が低下している場合、症状がゆっくり進行するため、自覚しにくいのが特徴です。
透析が必要になるケースも
腎臓の働きが著しく低下すると、体に老廃物や水分がたまり、生命維持が難しくなります。この状態になると「透析治療」が必要になる場合があります。
ただし、早期に発見して生活を見直すことで進行を防げるケースも多いため、定期的な検査が大切です。
クレアチニンが高い原因
腎機能の低下には、生活習慣病が深く関わっています。特に次の3つは注意が必要です。
・高血圧:血管に圧力がかかり続けると、腎臓の細い血管がダメージを受け、ろ過機能が低下します。
・糖尿病:高血糖状態が続くと腎臓の毛細血管が障害され、「糖尿病性腎症」を起こすことも。
・脂質異常症:血液中の脂質が多いと動脈硬化が進み、腎臓への血流が悪化して機能が落ちやすくなります。
これらの病気は自覚症状が少ないため、定期的な健康診断と生活習慣の見直しが重要です。
筋肉量や食生活による影響
クレアチニンは筋肉から作られるため、筋肉量が多い人や、筋トレをしている人は値がやや高めに出ることがあります。また、肉類・タンパク質の過剰摂取や脱水も一時的に上昇の原因となります。
一方で、数値だけで判断せず、eGFRや尿検査もあわせて確認することが重要です。
腎機能低下を確認する方法
血液検査でわかる腎臓の数値
血液検査では、クレアチニンのほかにeGFRや尿素窒素(BUN)、血清カリウム値なども調べます。これらを総合的に見ることで、腎臓がどの程度働いているかがわかります。
尿検査で腎臓からのSOSを確認しよう
尿にタンパクや血液が混ざっていないかも、腎臓の健康を示す重要なサインです。健康診断で「尿タンパク」「尿潜血」などを指摘された場合は、腎臓からのSOSと考えて早めに受診しましょう。
クレアチニンが高いときの対応方法
現時点でクレアチニンを直接「下げる」方法はなく、腎臓への負担を減らして現在の数値より上げないようにすることが大切です。
腎臓を守る基本の食事
食事の内容は腎臓への負担に大きく関係します。クレアチニンを下げる食事はありませんが、腎機能を守るために意識したいポイントは次の通りです。
・塩分を控える:「減塩」は血圧の上昇を防ぎ、腎臓の負担を軽くします。腎臓を守るためには1日3g以上6g未満を目標にしましょう。
・タンパク質は適量に:タンパク質の過剰摂取は腎臓のろ過機能に負担をかけます。しかし、体を作っていくために肉・魚・卵などのタンパク質は大事な栄養素になっています。
食事制限はどのような人がするのか
腎機能の低下が進んでいる人(eGFRが低い人)で、医師から指導を受けている人が対象です。
自己判断で極端な制限を行うと、栄養不足を招く恐れがあります。
適度な運動で改善
筋肉量はクレアチニン値に影響するため、極端な筋トレや激しい運動直後は一時的に数値が高くなることがあります。しかし、ウォーキングやストレッチなどの軽い有酸素運動は、血流を改善し腎臓への負担を軽くする効果が期待できます。
特に、運動は高血圧や糖尿病の予防・改善にもつながるため、腎機能を守るためにも「無理のない運動習慣」を継続することが大切です。まずはテレビを見ながら、家事の合間にストレッチなど、できることから始めてみましょう。
ストレッチや軽い運動は、毎日の“すきま時間”に取り入れるのがコツです。頑張りすぎず、生活の一部として続けていきましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
当記事では、クレアチニンの基準値や高くなる原因、腎機能との関係、対策方法まで詳しく解説しました。
クレアチニンの値が高いという結果を受けたとき、
「自分は大丈夫なのか」
「透析が必要になるのでは」
と不安になる方も少なくありません。
しかし、腎機能の低下は早期に気づき、適切に対応することで進行を抑えられます。大切なのは、食事や運動といった生活習慣を見直し、医師や管理栄養士と一緒に体に合った改善策を継続していくことです。
なお、赤羽もりクリニックでは、医師と管理栄養士がチームとなり、患者様の状態に合わせて無理のない食事・生活改善の提案を行っています。
「健康診断でクレアチニンが高いと言われた」「腎臓が心配だけど何をすればよいかわからない」という方はぜひ一度、以下のバナーよりご相談ください。
参考文献:赤羽もりクリニック監修 医師と管理栄養士が教える腎臓病・糖尿病レシピの教科書
日本腎臓学会編 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023
医療情報科学研究所編 病気がみえる 腎・泌尿器
日本腎臓病協会監修 腎臓病療養指導士のためのCKD指導ガイドブック
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