クレアチニンが少し高い更年期の女性は注意!腎臓病対策を専門医が解説
こんにちは、赤羽もりクリニックの院長の森 維久郎です。
今日は「クレアチニンが少し高い更年期の女性」についてお話ししたいと思います。
「健康診断でクレアチニン値が高めと言われたけど、放っておいても大丈夫?」
「更年期に入ってから体調が変わった気がするけど、腎臓と関係あるの?」
そのような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
特にホルモンバランスが大きく変化する更年期には、腎臓の働きにも影響が出やすく、注意するポイントがあります。
当記事では、更年期世代の女性にとって気をつけたい腎臓の変化や、クレアチニンが少し高めの際に知っておきたいことについて、医師の立場から分かりやすく解説します。ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の体と向き合うきっかけにしていただければ幸いです。
クレアチニンとは?
クレアチニンは、筋肉の代謝によって生じる老廃物で、腎臓が尿として体外へ排泄します。そのため、血液中のクレアチニン値は「腎機能のバロメーター」として非常に重要です。
クレアチニンの正常値は、女性0.47~0.79mg/dlです。クレアチニンが高い状態が続くと、腎臓のろ過機能が低下している可能性があります。
放置すると慢性腎臓病(CKD)へ進行し、最終的に人工透析が必要になるケースもあるため、早期発見と対策が重要です。
更年期はホルモンバランスが腎機能に影響
更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が大きく減少します。エストロゲンは血管をしなやかに保ち、血流をスムーズにする作用があるため、腎臓へ十分な血液が届くようサポートしてくれる存在です。
また、ナトリウムや水分のバランスを整える役割もあり、腎臓のろ過機能を間接的に守っています。しかし、エストロゲンが減ると血管が硬くなりやすく、腎臓への血流が低下するほか、体液や塩分の調節にも影響が出て、腎機能が徐々に低下しやすい状態になります。
その結果、これまで正常だったクレアチニンが 「ほんの少し高い」状態から慢性的な腎機能の低下へと進むケースもあるため、閉経前後は特に注意が必要です。
更年期の女性が気をつけること
糖尿病には要注意
糖尿病は腎臓の毛細血管を傷つけ、慢性腎臓病を引き起こす大きな原因のひとつです。血糖コントロールを怠ると、クレアチニン値がじわじわと上昇する危険があります。
空腹時血糖やHbA1cを定期的にチェックし、異常があれば早めに医師の診断を受けましょう。
加齢とともに高血圧対策を
加齢とともに動脈が硬くなり血圧が上がりやすくなります。高血圧は腎臓へのダメージを加速させます。
減塩や適度な運動、ストレス対策などで日常的に血圧を管理しましょう。
年齢に合わせた運動を行う
運動は血流を改善し、腎臓への酸素供給を高めます。また、血圧や血糖のコントロールにも役立つため、腎機能維持に欠かせません。
成人では、1日およそ8,000歩の歩行が目安とされています。一度に長く歩く必要はなく、10分程度の歩行を数回に分けて行うだけでもよいです。
日常の合間に軽いストレッチを取り入れながら、自分の体調や年齢に合ったペースで続けていきましょう。
腎臓に影響する食事の注意点
腎臓は、体内の老廃物や余分な水分・塩分をろ過し、尿として排出する重要な臓器です。そのため、日々の食事内容が腎機能の負担や維持に直結します。
タンパク質の過剰摂取を避ける一方で不足にも注意
タンパク質は摂りすぎると代謝の過程で生じる老廃物の処理に腎臓がフル稼働し、腎臓への負担が増える原因になります。しかし、タンパク質は筋肉やホルモンの材料となる重要な栄養素です。
タンパク質の摂取量が少なすぎて食事バランスが乱れていくと、筋力低下により寝たきりのリスクにつながるので注意が必要になってきます。
塩分の過剰摂取は控える
塩分の摂りすぎは血圧上昇につながり、腎臓の細い血管を傷つけてろ過機能を低下させます。特に更年期以降は血圧が上がりやすくなるため、塩分コントロールは腎臓保護の最重要ポイントです。
腎臓を守るためには1日の塩分摂取量を3g以上6g未満が目標になっています。注意したいのは、隠れ塩分です。
加工食品、インスタント食品、外食メニューには、自分で味付けをしなくても多量の塩分が含まれていることがあります。
例えば、ハム・ソーセージ・練り製品・レトルト食品・パンなどは塩分が高くなりがちです。食材を購入する際に「塩分控えめ」「減塩」などの表示を選ぶ工夫が大切です。
また、調味料の使い方にも工夫をしましょう。醤油やソースを「かける」のではなく「つける」にするだけでも摂取量が減らせますし、だし・酢・香辛料・レモン汁などで風味をつけることで、少ない塩分でも満足感を得やすくなります。
食材本来の味を生かした「薄味」に慣れることが、腎臓を守る第一歩になります。
クレアチニン以外の数値にも目を向けよう
腎臓の機能を確認する数値はクレアチニン以外に重要な項目があります。下記の項目をしっかり確認してみましょう。
eGFRに着目
eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓が血液をろ過する力を数値化したものです。健康な人の腎臓を「100点満点」としたときに、現在の腎臓が何点かを示すイメージです。
この数値は、血液中のクレアチニン値をもとに、年齢や性別などを組み合わせた特別な計算式で算出されます。そのため、腎機能の評価にはeGFRが用いられます。
eGFRが 60 mL/分/1.73m²未満 になると、慢性腎臓病の可能性があると考えられます。この場合には、継続的な経過観察や治療が必要な場合があります。
尿検査で判断する腎臓からのSOS
尿検査では尿たんぱくや尿潜血の確認が重要です。腎臓に過剰な負担がかかっていると尿たんぱくが出ます。
尿たんぱくは腎臓からの「SOS」だと思ってください。尿検査で指摘された場合は病院で再検査をし、詳しく確認してみましょう。
参考記事:尿潜血とは?原因となる病気や陽性になったときに行う検査
さいごに
いかがでしたでしょうか?
当記事では、更年期の女性が注意すべき「クレアチニン値の上昇」と腎臓への影響について解説してきました。更年期はホルモンバランスの変化により、腎機能が徐々に低下しやすくなる時期です。
血糖値や血圧の管理、食事内容の見直し、適度な運動など、日常の生活習慣が腎臓の健康に直結します。クレアチニンが少し高いと感じた方はもちろん、「年齢的に腎臓が心配」「家族に腎臓病の人がいる」「塩分が気になるけど、どこから始めれば良いか分からない」という方も、まずは専門的なサポートを受けることが大切です。
そこで赤羽もりクリニックでは、医師と管理栄養士が連携し、一人ひとりの体調やライフスタイルに合わせた食事・生活改善のアドバイスを行っています。小さな変化も見逃さず、早めの対策を一緒に考えていきましょう。
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参考文献:赤羽もりクリニック監修 医師と管理栄養士が教える腎臓病・糖尿病レシピの教科書
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