カレーは腎臓病で食べてはいけないもの?食事制限は必要なのかを専門医が解説
こんにちは、赤羽もりクリニック院長の森 維久郎です。
腎臓病と診断されると、「これから何を食べていいのだろう?」と不安になる方もいます。特にカレーのように身近で人気のある料理は、「もう食べられないのかな」と心配になる方も少なくありません。
しかし、腎臓病だからといって必ずしもカレーを完全に禁止する必要はありません。病状や進行度に合わせて調理方法を工夫すれば、楽しむことも可能です。
当記事では、腎臓病の方がカレーを食べるときに注意したいポイントや生活習慣の工夫について、専門医の視点からわかりやすく解説します。
カレーは腎臓病でも食べられる!ただし腎臓病食の基本を押さえよう
腎臓病だからといって、食生活で必ずしも「この食べ物は絶対に禁止」と制限が掛かるわけではありません。大切なのは、腎臓にできるだけ負担をかけないように、食事の基本ルールを意識することです。
そこで特に注意したいポイントは次の3つです。
・カリウム(じゃがいも・トマト・ほうれん草などに多い)
・塩分(カレールーに多く含まれる)
・たんぱく質(肉や具材の量で変わる)
ただし、腎機能の状態や合併症の有無によって、どこまで制限が必要かは人それぞれです。自己判断で過剰に減らすと、かえって栄養不足や体調不良につながる危険があるため、必ず医師や管理栄養士と相談しながら調整していくことが大切です。
カリウム制限が必要なケース
腎臓病におけるカリウム制限もたんぱく質と同様で、腎臓の機能は一人一人変わってくるので自己判断は危険です。カリウム制限が必要なケースでは腎機能が低下すると体内のカリウム排泄が難しくなり、高カリウム血症を起こすリスクがあります。
カレーに使うじゃがいも、トマト、ほうれん草などはカリウムが多い食材なので食べ過ぎは注意が必要です。
塩分の落とし穴
カレーの一番の問題は塩分です。腎臓を守っていくうえでは1日3g以上6g未満が目安になっています。市販のカレールーには1皿あたり約2gの食塩が含まれていることが多く、1食で多く摂取してしまうので注意が必要です。
メーカーによって異なるので確認しましょう。
タンパク質制限は人によって異なる
腎臓病の食事と聞くと「タンパク質を減らさなければいけない」と思われる方が多いですが、実際には最初から制限が必要なわけではありません。
腎臓の状態や進行度、体格や合併症の有無によって、タンパク質をどの程度摂るべきかは変わります。むしろ、病気の初期や栄養状態がよい方は、無理に制限しないほうが体にとって良い場合もあります。
自己判断でタンパク質を大幅に減らしてしまうと、栄養不足や筋力低下を招き、かえって健康を損なう危険があります。そのため、「自分の場合は制限が必要かどうか」を医師や管理栄養士に確認することがとても大切です。
脂質にも気をつけよう
一般的なカレールーには脂質が多く含まれています。また、カツカレーや唐揚げトッピングなどはさらに脂質が増加し、腎臓や心血管系に負担をかけることもあるため注意しましょう。
カレーを食べるための工夫
カレーを完全に我慢するのではなく、「工夫して楽しむ」ことが大切です。
インスタントやレトルトは避け手作りを心がける
特にレトルト食品は保存性を高めるために塩分が多く、1袋で食塩3〜5gを超えるものも多く流通しています。これは、腎臓病食で推奨される1食あたりの塩分量を大きく上回ってしまうことになります。
手作りだと塩分や脂質、添加物の調整がしやすいですが、1人分を作りたい場合や手軽にカレーを楽しみたい場合はかえって手間がかかる場合もあります。その際は、最近だと減塩タイプのカレールーがあるのでうまく活用してみましょう。
カレー粉などのスパイスを使う
ルーではなく、カレー粉を使えば塩分や脂質を大幅に減らすことができます。ターメリックやクミン、コリアンダーなどのスパイスは香りが強く、少ない塩分でも満足感が得られるのがメリットです。
カレーを物足りなく感じるときは、トッピングで変化をつけましょう。また、揚げ物のトッピングは控え以下のようなものに置き換えてみましょう。
・蒸し野菜(ブロッコリー、人参、豆類などを下ゆでして)
・ゆで卵や温泉卵
・刻みネギや香草(香りで満足感アップ)
日々の生活習慣でできる腎機能の低下予防
生活習慣を整えることは、腎機能の低下を防ぐ上でとても重要です。特に、腎臓病のリスクや進行要因となる高血圧・糖尿病・脂質異常症を予防・改善することが大切です。
偏食にならずバランスの良い食事を
腎臓病と診断されていても、まだ食事制限が必要ない段階の方は、まず偏食せず栄養バランスを意識することが大切です。特定の食品に偏った食事は、将来的に腎機能に負担をかけやすく、高血圧や糖尿病といったリスクを高めます。
主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけ、腎臓に負担の少ない生活習慣を整えていきましょう。食事の基本については以下のリンクよりご確認ください。
参考記事:チョコレートはダメ?慢性腎臓病で食べてはいけないものなのか
適度な運動を心がける
運動制限の指示がない方は、運動習慣を持つことも腎臓を守るために役立ちます。ウォーキングや軽い筋トレ、ストレッチなどの適度な運動は血流を良くし、腎臓への負担を減らすことにつながります。
無理な激しい運動は必要ありませんが、毎日少しずつ体を動かす習慣を続けることが大切です。
腎臓病の方向けカレー粉を使用したレシピ
カレーをより安心して楽しむためには、調理の工夫が大切です。特にカレー粉を使った手作りレシピなら、塩分や脂質を抑えつつ、スパイスの香りで満足感を得られます。
そこで以下、腎臓病食に配慮したカレー粉レシピを紹介します。栄養バランスとおいしさを両立させたメニューになっています。
・豚肉の焼き肉風(カレー風味):シンプルな調味料とカレー粉を使い、塩分を抑えながら満足感のある味に仕上げています。付け合わせの野菜を工夫することで栄養バランスもアップ。
・牛肉のカレーソテー:キャベツや玉ねぎを加えて野菜もしっかり摂れる一品。市販のルーを使わないことで、塩分や脂質を控えつつスパイスの香りを楽しめます。
※赤羽もりクリニック監修 医師と管理栄養士が教える腎臓病・糖尿病レシピの教科書より抜粋
どちらも手軽に作れるうえに、たんぱく質や塩分・カリウムの量が明記されているので安心です。日々の献立の参考にしていただければと思います。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
当記事では「腎臓病でもカレーを食べられるのか?」という疑問に対して、注意点や工夫のポイントを解説してきました。
腎臓病だからといって、好きな食べ物をすべて我慢する必要はありません。大切なのは、腎機能の状態に合わせて食材や調理方法を見直し、無理のない範囲で食事を楽しむことです。
しかし、塩分やカリウム、タンパク質のバランスを自分ひとりで管理するのは簡単ではありません。赤羽もりクリニックでは、医師と管理栄養士が連携し、あなたの腎機能の状態やライフスタイルに合わせた栄養指導を行っています。
「自分にとってどのくらい制限が必要なのかわからない」「安心して食事を楽しみたい」という方は、どうぞお気軽に以下のバナーよりご連絡ください。
参考文献:赤羽もりクリニック監修 医師と管理栄養士が教える腎臓病・糖尿病レシピの教科書
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