「腎臓病なら食事制限すべき」は大間違い!過度な食事制限が引き起こす重大なリスク
※当記事は森 維久郎院長が監修しています。
こんにちは、赤羽もりクリニックです。
今日は「腎臓病と食事制限」についてお話しさせていただきます。
「腎臓を守るために」良いと思って始めた自己流の過度な食事制限は、低栄養や筋肉量が減るなどのリスクを招く可能性があります。
そこで、「タンパク質を減らしすぎたことによる体力低下」や「過度な塩分制限が原因で食欲が低下している」方にとって、無理なく続けられ、栄養も摂れる食事療法の基本を解説します。まずは正しい知識を持つことから始めてみましょう。
「腎臓病なら制限すべき」は誤解?過度な制限がもたらすリスク
腎臓病の患者さん全ての方に食事制限が必要なわけではありません。制限することのリスクや制限が必要なパターンとの見分け方についてお伝えしていきます。
タンパク質を減らしすぎると〇〇が低下
タンパク質を減らしすぎると、筋肉量の低下で寝たきりのリスクが高くなります。腎臓病が進行するとタンパク質から出た老廃物が蓄積することにより、タンパク質の制限が必要になる場合があります。
しかし、腎機能低下で医師から制限の指示がない状態において、自己判断でタンパク質を大幅にカットするのは非常に危険です。
過度なタンパク質摂取は腎臓に負担を与える可能性はありますが、少なければ少ないほど良い訳ではありません。
あくまで過剰でもなく不足でもない量を選択する必要があります。
塩分制限のしすぎで食欲不振・低ナトリウム血症の危険も
過剰な塩分摂取は血圧を上げ腎臓の血管に負担をかけることに。そこで塩分制限は腎臓病治療の基本ですが、これも「やりすぎ」は禁物です。
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制限のしすぎによる食欲不振:塩味がなさすぎると、食事に対する楽しみもなくなり、食欲が低下します。その結果、食事量が減少し、必要なカロリーや他の栄養素まで不足し、低栄養を招きます。
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低ナトリウム血症の危険:特に高齢の方や特定の薬を服用している方が、極端な塩分制限と水分の摂り方を誤ると、体内のナトリウム濃度が急激に下がることに。その結果、だるさ・頭痛・重度の場合は意識障害を引き起こす低ナトリウム血症のリスクが生じる場合もあります。

塩分は目標値3g以上6g未満を目指し、食欲が落ちないように塩味の代わりに出汁や香辛料で満足度を高める工夫をすることが大切です。
カリウム・リンを制限しすぎると起こること
カリウムやリンの制限は、腎機能が著しく低下している一部の方にのみに必要となることがあります。
血液検査で高カリウム血症や高リン血症が指摘されていない限り、これらの制限は基本的に必要ありません。特に、カリウムが多く含まれる野菜や果物、全粒穀物、魚などは、ビタミン、ミネラル、食物繊維の重要な供給源です。
過度な制限をすると、これらの食品群を避けてしまうので栄養バランスが大きく崩れ、便秘や慢性的な栄養不足を招きます。
血液検査で値に問題がない方は、「制限」を考えるよりも、まずは後述する「食事療法の基本」にあるような、適正な品数とバランスで野菜や果物を摂ることを心がけましょう。
腎臓病と食事制限の関係を正しく理解しよう
制限の誤解を避けるためにも、腎臓病で食事制限が必要とされる理由を正しく理解しましょう。
なぜ腎臓病で食事制限が必要とされるのか
腎臓は体内の老廃物を排泄するだけでなく、水分、塩分、カリウム、リンなどを調節し、血圧をコントロールする重要な臓器です。腎臓病は、この調節機能が徐々に低下していく状態です。
腎機能が低下すると、体内に老廃物や過剰な成分が溜まりすぎるため、それらの生成や摂取を抑える必要が生じます。
一方で慢性腎臓病患者さんの多くの方が属する初期の段階では老廃物や不要なミネラルが溜まっていないことも多く特定の栄養素を厳しく制限する必要がないことが多々あります。
本当に自分に食事制限が必要なのかを血液検査のデーターを見ながら確認する必要があります。
腎臓病の食事療法の正しい考え方
腎臓病の食事療法で最も大切なのは、「制限」という言葉に惑わされず、ご自身の腎機能と医師の指示に基づいた「適切な調整」を行うことです。
食事療法の基本
主食(ごはんなど)・主菜(タンパク質)・副菜(野菜など)を摂ることで、栄養バランスのとれた食事になります。単品の食事(パン・おにぎりのみ)では、糖質・タンパク質・脂質が偏りやすいため、なるべく避けましょう。

※赤羽もりクリニック監修 医師と管理栄養士が教える腎臓病・糖尿病レシピの教科書より抜粋
上記のイラストのように、ランチョンマットの上に「主食・主菜・副菜」を配置するイメージで1食を考えると、自然とバランスが整います。
食事の基本は「1日3食でバランスよく!」です。
そこで以下のポイントに気をつけましょう。
・主食:1食につき1品(ごはん、パン、麺など)
・主菜:1食につき1品(肉、魚、卵、大豆製品など)
・副菜:1〜3品(野菜、海藻、きのこなど)
・乳製品・果物:1日に1品ずつが目安
さらに、筋肉量の維持には、食事とともに無理のない範囲で体を動かすことも大切です。日常生活の中で歩いて買い物に行く、階段を使うなど続けられることを取り入れていきましょう。
参考記事: 腎臓病に良い食べ物で腎機能の低下を防ぐための3つの基礎知識
カロリー不足に注意!腎臓を守るエネルギーの摂り方
カロリーが不足すると、体はエネルギーを補うために、自分自身の「筋肉」を壊してエネルギー源に変えようとします。筋肉(タンパク質)が壊れると、尿素窒素などの老廃物が大量に発生します。この老廃物を処理するのは腎臓の役割であるため、結果として腎臓に大きな負担をかけてしまうのです。
また、せっかく食事から摂ったタンパク質も、エネルギーが足りないと筋肉の維持には使われず、そのまま燃やされて老廃物に変わってしまいます。
つまり、「しっかり食べてエネルギーを確保すること」が、結果として腎臓を守ることにつながるのです。 効率よくエネルギーを摂るために、糖質や脂質を上手に活用しましょう。
腎臓病でも楽しめる食事と味付けの工夫
制限がほとんど不要な方も、適正な塩分摂取量にする工夫は必要になってきます。美味しく減塩を続けるポイントとして、塩味に頼らず、うま味(出汁)、酸味(酢、レモン)、香辛料(胡椒、カレー粉)、香味野菜(大葉、生姜)を積極的に利用することでストレスを少なく続けることができます。
また、食事全体に調味料を「かける」のではなく「つける」ことを意識すると自然に塩分量は減るので、ぜひ取り入れてみてください。
腎臓病と糖尿病の食事はどう違う?
腎臓病で制限がない方以外はしっかりバランスよく摂って低栄養を防ぐことを意識しましょう。糖尿病では血糖値を意識し、血糖の上がりにくい食事にするため主食、主菜、タンパク質をバランスよく摂っていける食事にするとよいです。
腎臓病と糖尿病では大きな違いはなく適正量、適正な時間に食事をバランスの摂れた食事にしましょう。
手軽にできる一品レシピ
※赤羽もりクリニック監修 医師と管理栄養士が教える腎臓病・糖尿病レシピの教科書より抜粋
鶏手羽もとのポトフ:鶏手羽もとをメインに、野菜をたっぷり120g摂れる、一皿で大満足のポトフです。お肉のタンパク質と野菜の栄養が溶け出したスープは、体への優しさも抜群。材料を鍋に入れて煮込むだけの手軽さで、忙しい日のメイン料理に最適です。
適度な運動で腎臓を健康に保つ
運動制限の指示がない方は運動習慣を作ることも腎臓を守るために効果的です。ウォーキングや軽い筋トレ、ストレッチなどの適度な運動は血流を良くし、腎臓への負担を減らすことにつながります。
具体的には、「買い物に行くときに一駅分歩く」「エレベーターではなく階段を1階分だけ上る」「家事の合間に肩回しやスクワットをする」など、日常生活の中で取り入れられる動きでも十分です。
普段運動習慣がないという方は、「お気に入りの音楽を聴きながら、テレビを見ながら軽くストレッチする」などから始めるのはどうでしょうか。無理な激しい運動は必要ありませんが、毎日少しずつ体を動かす習慣を続けることが大切です。
水分摂取も忘れずに
また、水分摂取は脱水を防ぐ意味でも、1日1.5-2L程度を目標にすることが必要です。ただし、むくみや心不全の傾向がある方は、必ず医師の指示に従って水分摂取量を調整してください。
水分をしっかりとることは基本ですが、カフェインや糖分を多く含む飲料の摂りすぎには注意しましょう。カフェインを含む飲料は利尿作用があるため、水分としての摂取は避けて水で水分をとるのが良いでしょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
当記事では、「腎臓病だから食事制限すべき」という自己流の過度な制限がいかに危険か、そして腎臓病の食事療法の正しい考え方について解説してきました。腎臓病の食事療法で最も大切なのは、「制限」ではなく、ご自身の腎機能の状態と医師の指示に基づいた「適切な調整」を行うことです。
過度なタンパク質制限や塩分制限は、低栄養や筋力・免疫力の低下、食欲不振といった重大なリスクを引き起こす可能性があります。
なお、当院では患者さんの腎機能の状態を正確に評価し、医師と管理栄養士と連携して、一人ひとりの病状やライフスタイルに合わせた具体的な食事指導を行います。
『最近、自己流で食事制限をして体重が下がってきているけどどうすればよいか分からない』とお悩みの方に、個々の状況に合わせた継続しやすい指導を行っていきますので、どうぞお気軽に以下のバナーよりご連絡ください。
参考文献:赤羽もりクリニック監修 医師と管理栄養士が教える腎臓病・糖尿病レシピの教科書
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