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【2026年版】カリウムは腎臓病に悪いは本当なのか?最新エビデンスが考える「カリウム制限の功罪」

[2026.02.10]

こんにちは、赤羽もりクリニック院長の森 維久郎(もり いくろう)です。

「腎臓病になったら生野菜や果物は控えてください」

医師や管理栄養士からそう言われて、戸惑っていませんか?

かつて慢性腎臓病の食事療法といえば、厳格な「カリウム制限」が鉄則でした。

しかし、近年の研究により、その常識が大きく変わりつつあります。

この記事では、なぜ腎臓病でカリウム制限が必要とされてきたのかという基本的なメカニズムから、最新の研究の動向について、エビデンスに基づいてわかりやすく解説します。

なぜ腎臓病だとカリウム制限が必要と言われてきたか

腎臓病の食事療法として昔からカリウムというミネラルを含む野菜・果物を制限する治療が積極的に行われてきました。

腎機能が低下すると体内のカリウムを尿として排泄できなくなり、カリウムが血液中にたまりすぎると命に関わる不整脈を起こすリスクがあるからです。

2023年の日本腎臓学会のガイドラインでも、腎臓病で患者の血清カリウム値を以下のように設定しています。

  • 4.0 mEq/L以上 5.5 mEq/L未満 に管理することを推奨する

これが、長年「カリウムは腎臓病の大敵」とされ、腎臓病の食事療法としてカリウム制限が長年行われてきた経緯です。

 

【最新】「すべての腎臓病患者さんにカリウム制限」は間違いだった?

しかし、最新の研究やガイドライン改訂により、「一律にカリウムを制限するのは逆効果かもしれない」という話が出てきました。

特に「FUKUOKA腎臓病登録研究(2024年発表)」と呼ばれる 日本のCKD患者4,314名を対象としたでは、「カリウム摂取量が最も少ないグループで、腎不全の進行リスクが最も高かった」という驚きの結果が出ています。(この論文だけで結論には至りません。)

またCKD診療ガイドライン2023やKDIGOと呼ばれる世界の腎臓内科医が参考にする国際機関でもカリウム制限について従来の一律制限→個別に判断というスタンスに切替わっております。

現場の専門医の間でも、腎臓病の患者さん全てにカリウムを制限するのではなく、患者さんによって制限を行うべき患者さんと、そうではない患者さんに分けるという診療スタイルになりつつあります。

 

カリウムを制限するとなぜ腎臓が悪くなる可能性があるのか?

カリウムを含む野菜・果物を控えることによる腎臓への悪影響については以下のような様々なメカニズムが関わっていると言われています。

  • 野菜や果物に含まれる食物繊維や抗酸化物質が不足する
  • アルカリ成分による中和を止めてしまう
  • 便秘と腎臓の悪循環である「腸腎連関」をすすめてしまう
  • 血圧が高くなる など

特に便秘と腎臓に関しては、2025年の最新トピックとして注目されています。

腎臓が悪くなることで腸内環境が悪化し、腸内環境の悪化が腎機能に悪影響を与えるという「負の循環」を作ってしまうことが明らかになっており、便秘の改善が重要な治療の一つとなっています。(【医師解説】腎臓病に「便秘」は百害あって一利なし!リスクと改善策を徹底解説

良かれと思って行った野菜や果物の制限が結果として腎機能障害を引き起こす可能性がある。

実際、診察をしていても、カリウムを下げるために行われた食事療法が便秘を引き起こし、その便秘によってかえってカリウムが上がってしまうという、本末転倒な事例を経験することも多々あります。

 

【最新基準】腎臓病ステージ別・カリウム摂取の新ルール

ガイドラインによって様々ですが、最新ガイドライン(日本腎臓学会 2023)では、ステージG3aまでの一律制限が撤廃されました。

G3b
30〜44
2,000mg/日 以下
筆者コメント:ここから緩やかな制限を開始。ただし、血液検査で高カリウム血症がなければ厳密にしすぎない
G4
15〜29
1,500mg/日 以下
筆者コメント:必要に応じて厳格な管理が必要ですが、低栄養(フレイル)にならないようカロリー確保が最優先
G5
15未満
1,500mg/日 以下
筆者コメント:必要に応じて薬物療法(カリウム吸着薬)や透析導入を視野に入れた管理を行います

また専門医の間では、患者さんの血清カリウム値が 5.5 mEq/L 以上になる見込みがない場合は仮に腎臓病のステージが進行していてもリスク評価をしながら、制限をなるべくしないように行うという考え方も出てきています。

 

明日からできる腎臓病の野菜・果物食べ方戦略

これまで、腎臓病で実際にカリウムを制限する必要がある方はごくわずかであるというお話をしてきました。

一方で、腎臓病でカリウムが高くてお悩みの方については、以下の戦略をとられると良いでしょう。

吸収率(バイオアベイラビリティ)を知る

最近の研究では食品に含まれるカリウムの総量だけでなく、「体にどれだけ吸収されるか(バイオアベイラビリティ)」が重要視されています。

食品カテゴリー
吸収率(推定)
生理学的メカニズムと特徴
加工食品・添加物
(ハム、ソーセージ、清涼飲料水など)
ほぼ 100%
【最も危険な供給源】「塩化カリウム」などの無機塩として添加されています。細胞壁などの障壁がないため、食べた直後に小腸で速やかに全量が吸収され、血清カリウム値を急上昇させます
動物性食品
(肉、魚、乳製品)
約 80%
【吸収されやすい】調理や消化の過程で細胞膜が容易に破壊されるため、細胞内にあったカリウムが溶け出し、高い割合で吸収されます
植物性食品
(野菜、果物、穀物※未加工)
50% 〜 60%
【吸収が穏やか】カリウムが強固な細胞壁(食物繊維)の中に守られています。消化酵素で分解されにくいため、全量は吸収されず、一部はそのまま大腸へ運ばれて便として排泄されます

この中で特に注意が必要なのは「減塩食品」です。塩(ナトリウム)の代わりに「塩化カリウム」が使われていることが多く、このカリウムは吸収率が非常に良いので、これらのカリウムが問題になっている患者さんについては注意が必要です。

またAJKDというアメリカの腎臓の科学雑誌ではジュース、ベジタブルソースなどの液体系のものをまず減らし、それでもカリウムが改善しなかった場合は、バナナや芋などのカリウムを多く含む野菜・果物から制限をするという形を推奨しています。

「PLADO(プラド)食」を取り入れる

最近海外の論文などでも推奨されている「PLADO食(植物性主体の低タンパク食)」は、タンパク源の多くを植物性(大豆製品など)にする方法です。

植物性タンパクは、動物性に比べて腎臓への負担が少なく、尿毒素も溜まりにくいメリットがあります。

そしてカリウムの吸収率も低いので高カリウム血症に伴う健康被害を抑えることもできます。

 

調理法でカバーする

野菜や芋類を細かく切って茹でこぼしたり、葉物野菜を水さらしにするなどの方法もあります。

一方で、これらの方法はカリウムだけではなく、健康にとって重要なビタミンなども抜けてしまうことがあるので、本当にカリウムを制限する必要がある方に限定して行うべきだと考えております。

これらの調理方法については、管理栄養士が詳しく解説したこちらの動画があるのでご覧ください。

 

さいごに

いかがでしたでしょうか?

この記事では、最新のエビデンスに基づいた「腎臓病とカリウム制限」の新しい常識についてお伝えしてきました。

これまで当たり前だと思われていた「野菜や果物の制限」が、実は人によっては逆効果になり、便秘や腎機能の悪化を招く可能性があることは、非常に重要な視点です。

大切なのは、一律の制限ではなく、あなたの現在の腎機能や血液検査の結果に合わせて、「食べて良いもの」と「控えるべきもの」を正しく見極めることです。

赤羽もりクリニックでは、医師と管理栄養士が連携し、単なる数値の管理だけでなく、あなたの生活スタイルや好みに合わせた具体的な食事メニューの提案とフォローアップを行っています。

「野菜を食べていいのか判断に迷う」
「食事制限がストレスで何を食べればいいかわからない」

という方は、ぜひ一度ご相談ください。

当院では、マンツーマンで日常の食生活を具体的に見直していけるため、慢性腎臓病が心配な方や、生活習慣について不安をお持ちの方は、どうぞお気軽に以下のバナーよりご連絡ください。

参考文献:赤羽もりクリニック監修 医師と管理栄養士が教える腎臓病・糖尿病レシピの教科書

この記事を監修した医師
森 維久郎

赤羽もりクリニック院長、日本腎臓学会腎臓専門医。人工透析を減らす診療をコンセプトに年間1万人以上の外来診察を行う。 情報発信に力を入れており、合計4冊書籍を出版、YouTubeチャンネル「じんぞうの学校」を運営、チャンネル登録者3万人以上。 

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