SGLT-2阻害薬とは?薬の効果や副作用・値段について解説
こんにちは。
赤羽もり内科・腎臓内科です。
糖尿病の世界で最近話題のSGLT2阻害薬についてお話をしたいと思います。
(当記事は糖尿病専門医の嶋崎医師と院長の森が監修しています。)
目次
SGLT-2阻害薬とは
SGLT-2阻害薬は、余分な糖を尿から出すことで血糖値を下げる薬です。
通常、血液中の糖分は、腎臓の糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる身体の必要なものと、不要なものを振り分けるフィルターを通過して、原尿として一度排出されます。
その後、腎臓の尿細管(にょうさいかん)という場所で再び吸収されます。
SGLT-2阻害薬は、この尿細管での糖の吸収を抑えて、そのまま尿に一部分の糖分を排泄するようにします。
その作用により血糖を下げるだけでなく全身の臓器を保護する効果が期待されています。
SGLT-2阻害薬の効果
糖尿病の状態を良くする作用
尿から糖を排泄することにより、血糖値を下げる効果があります。
ここ数年、SGLT-2阻害薬の効果が認められ、よく使用されるお薬となりました。
腎臓を守る作用
SGLT-2阻害薬には、血糖をおさえるだけでなく腎臓を守る作用があります。
2型糖尿病では、腎臓の糸球体に圧力がかかり、腎臓が壊れてしまいます。
SGLT-2阻害薬は、この腎臓の糸球体にかかる圧力を減らすことで腎臓の負担を減らすことが近年の研究でわかりました。
そのため慢性腎臓病がある患者さんには糖尿病がなくても、一部のSGLT2阻害薬が保険適用となっています。
心臓を保護する作用
腎臓だけでなく、心臓を守る作用も期待されています。
心不全を減らすという結果も報告されており、アメリカなどでは糖尿病の薬でメトホルミンというお薬に次いで2番目に使われるようになっています。
そのため日本では慢性心不全がある患者さんには糖尿病がなくても、一部のSGLT2阻害薬が保険適用となっています。
SGLT-2阻害薬とダイエット
SGLT-2阻害薬は1日あたり最大約300-400kcal程度のカロリーを尿から排泄します。
これはおにぎり2個分くらいのカロリーに相当しますので、数か月経過すると2-3kg程度の体重減少します。
ただしSGLT-2阻害薬は食欲を増やす効果もあるので、要注意です。
尚、SGLT-2阻害薬は以下のような方にしか保険診療として処方することはできません。
- 糖尿病の方
- 心不全の方
- 腎臓病の方
SGLT-2阻害薬をダイエット目的で自費診療として処方する医療機関もありますが、当院では行っていないのでお気をつけください。
SGLT-2阻害薬の副作用
SGLT-2阻害薬の副作用は以下のようなものがあります。
- 脱水(投薬してから1か月以内で起きることが多いです。)
- 尿路感染症
- 性器の感染症(女性が多い)
- 低血糖 など
対策として、SGLT-2阻害薬を開始後1か月は、水をしっかり飲んでください。(目安として、普段よりペットボトル500ml/日飲むと良いです。)
また、ご飯やお水が飲めないような病気になった時(=シックデイの時)は、血糖変動や脱水になるリスクが増えるので休薬して医師に相談してください。
SGLT-2阻害薬の値段
SGLT-2阻害薬は様々な製薬メーカーから販売されており、値段も会社ごとによって異なります。
あくまで参考としてですが、保険診療で3割負担と仮定すると50-100円/日程度のことが多いようです。
よくある質問
SGLT2阻害薬の種類・使い分け・比較について教えてください。
SGLT2阻害薬は、様々な製薬メーカーから販売されています。
薬の作用としては細かい違いはあるものの、概ね違いはありません。
心不全や慢性腎臓病に対して保険適応があるSGLT2阻害薬とそうでないものがあります。
詳しくは糖尿病リソースガイドのこちらのページをご参照ください。
SGLT2阻害薬のジェネリックはありますか?
現段階でジェネリックはありません。
SGLT2阻害薬以外の薬について教えてください。
糖尿病では、ビグアナイド系薬剤(メトホルミン)と呼ばれるお薬を最初に使うことが多いです。
その他、GLP1受容体作動薬、SU剤、DDP4阻害薬など様々な薬があり、状況の応じて使用していきます。
詳しくは、「糖尿病の薬が開始したら読んでほしい記事。副作用は?」の記事をご参照ください。
SGLT2阻害薬を自費で購入することはできますか?
当院では「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」のページの内容を受けてSGLT2阻害薬の自費での販売は原則行っておりません。
最後に
糖尿病でSGLT2阻害薬について調べられている方が多いと思います。
SGLT2阻害薬は血糖を下げるだけでなく、心臓などの臓器保護や、体重減少が期待できます。
当院でも必要性やリスクを評価した上で、SGLT2阻害薬を積極的に使用しています。
興味がある方やご不明な点がある方は些細なことでも構いませんので遠慮なくご相談ください。
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