【腎臓専門医が解説】腎機能が低下する5パターンの原因と予防の方法
こんにちは、透析予防のクリニック、赤羽もり内科・腎臓内科の院長の森 維久郎です。
本日は、腎機能が低下する原因と予防の方法というテーマでお話をしていきます。
- 健康診断で腎機能が悪いと言われたけど思い当たる節がない
- ドンドン腎機能が悪くなっているけど主治医の先生からしっくりアドバイスをもらえない
みたいなお悩みがある方には
是非読んでいただきたい内容となりますので最後までお付き合いください。
【目次】
腎機能低下の原因の5つのパターン
腎機能低下の原因は多岐にわたりますが、主に5つのパターンに分けることができます。
- 高血圧による腎機能低下
- 糖尿病による腎機能低下
- 免疫や遺伝性の病気によるもの
- 腎臓の形態学的な異常によるもの
- その他
一つ一つ触れていきましょう。
高血圧による腎機能低下の原因
高血圧により腎臓にある糸球体という必要なものと不要なものを振り分けるフィルターの役割を担う重要な場所に負担がかかり長い時間をかけて腎機能が低下します。
また高血圧が続くこと動脈硬化が起きて、腎臓に流れる血液の道が狭くなることで腎臓に届く血液量が低下したりすることで腎機能低下が起きることもあります。
糖尿病による腎機能低下の原因
血糖値が高い状態が持続することにより糸球体に負担がかかり、長い時間をかけて腎機能が低下します。
また糖尿病によって起きる動脈硬化も腎臓に障害を引き起こします。
日本で透析が必要になる患者さんの1番の原因は糖尿病と言われています。
免疫や遺伝性の病気による腎機能低下
高血圧、糖尿病の他に、免疫の病気や遺伝性の病気によって腎機能低下がおきる場合もあります。
様々な病気がありますが、以下の3つの病気が有名です。
- IgA腎症
- 多発性嚢胞腎
- ネフローゼ症候群
これらの病気を特定するためには腎臓エコーや腎臓の特別な尿検査を行ない必要に応じて腎生検と呼ばれる組織を調べる検査を行ないます。
腎臓の形態学的な異常による腎機能低下
腎臓が異常な形をしていたり(例えば片方の腎臓が1/3になっている)、尿の通り道が詰まることで腎機能が低下することもあります。
原因として以下のようなものがあります。
- 高度の動脈硬化
- 尿管結石の嵌頓
- 先天的な奇形 など
腎臓エコーと呼ばれる超音波を使った検査を行うことで診断をつけることができます。
その他の原因
その他以下のような原因で腎機能が低下することもあります。
- 長期的なサプリメント・漢方・鎮痛剤の使用
- 長期の高度肥満
- 繰り返す脱水 など
腎臓病の原因を知るために行う検査
腎機能低下の原因は1つだけで起きているわけではなく、複数の原因が複合的に関わっていることが多いです。
どの原因が関わっているかを調べるため腎機能が低下している場合は問診、血液検査、尿検査、エコー検査を一通り行うことが望ましいです。
問診と検査結果で、ある程度原因の予想をつけ、治療を行ないながら原因を特定していきます。
一方で以下のような場合は腎生検と呼ばれる細胞レベルでの変化を調べる検査を検討します。
- 免疫の病気など特殊な病気が関与している可能性を強く疑う場合
- 原因が全く分からない場合
- 放置したら急激に腎機能が悪くなることが予想される場合 など
腎機能低下の予防について
腎機能低下の予防には以下のような方法があります。
- 高血圧・糖尿病の治療
- 腎機能低下の合併症の治療
- 健康的な生活習慣を送る
- 定期的な腎臓のパラメータの観察
一つ一つ触れていきましょう。
腎機能低下と高血圧・糖尿病の治療
腎機能低下を抑えるために高血圧と糖尿病の治療を必ず行いましょう。
目標は年齢や持っている病気によって異なりますが、個人的には以下を推奨しております。
- 家庭血圧:125/75mmHg以下
- 目標HbA1c値:7.0%以下
高血圧や糖尿病の薬には腎臓を保護する作用があり透析を遅らせることが証明されている薬もあるので積極的に検討しています。
「クレアチニンを下げる薬はある?腎機能が低下したときの治療薬」をご参照ください。
腎機能低下の合併症の治療
腎機能低下が進行すると、以下のような合併症が起きることがあります。
- 動脈硬化
- 筋力低下
- 腎性貧血
- アシドーシス
- 高リン血症 など
これらの合併症は腎機能低下を引き起こしたり、生命予後が低下する可能性があるため悪循環の原因となるため治療を行なう必要があります。
健康的な生活習慣を送る
腎臓病に良い正しい生活習慣を送ることが大切で以下のようなことに気をかけましょう。
- 腎臓病に良い食生活
- 腎臓病に良い運動療法
- 適正な体重コントロール
- 禁煙
- 十分な睡眠 など
ただし、これらは長期的に続けていく必要があるため無理ない範囲で行う必要があります。
定期的な腎臓のパラメータの観察
腎臓が悪くなっているかを定期的に確認することで日々の治療があっているかを確認すると良いです。
具体的な以下の2つを最低限でも確認しましょう。
当院を受診希望の方へ
腎機能低下の原因について解説しましたがいかがでしたか?
健康診断などでドキッとされてこの記事にたどり着いた方も多いと思います。
腎臓病の治療を行うためにはまず医療機関で原因をしっかり調査することが大切です。
病院に行くのは「不安」「面倒くさい」…、そう思う気持ち、とてもよくわかります。
不安な気持ちを抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
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