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カリウムを下げる食事療法で知っておきたい3つの基礎知識

こんにちは、透析予防のクリニック、赤羽もりクリニックの院長の森 維久郎です。

今日は、腎臓病の悩みの種であるカリウムについての解説記事を書きます。

よくいただくご相談内容としては以下のようなものがあり、そのような悩みを抱えている方に向けて書いています。

  • 腎臓病で、カリウムが高いと言われるがよく意味が分からない。
  • カリウムが高くて、何を食べれば良いか分からない。
  • 野菜・果物も駄目と言われて、食べるものがなくなった。 など

大切な内容なので是非最後までお読みください。

【目次】

腎臓病とカリウムの3つの基礎知識

腎臓が悪いと言われた方は、カリウムを含む野菜・果物を控えましょうと主治医の先生から言われたことがあると思います。

健常な人では体内にカリウムが増えすぎると尿から排泄されますが、腎臓が悪くなると尿から不要なカリウムが出ていかず溜まってしまうためです。

実際インターネットで腎臓の食事について調べるとカリウム制限について書いてあるページをいくつか見かけると思います。

ただし、患者さんの中で一定数の方が間違った解釈をしているのをみかけるのでまず3つの基礎知識を触れたいと思います。

  1. カリウムは腎臓を悪くしない
  2. カリウムは少なくても身体によくない
  3. 腎臓病の中で本当にカリウム制限が必要なのは2-3割程度

1 カリウムは腎臓を悪くしない

インターネットの多くの記事で、「腎機能が悪い場合はカリウムを控えましょう」と書かれているため、カリウムが腎臓を悪くすると考えている患者さんが多くいらっしゃいます。

実はカリウムは腎臓そのものを障害するわけではありません。

では何故、腎機能が悪いとカリウムを制限するかというと、血液にカリウムが溜まりすぎると突然死を引き起こす心臓の不整脈が起きてしまうからです。

そのため、腎臓病の患者さんでは血液検査でカリウム値が5.5mEq/L以上を越えないようにガイドラインで推奨されています。(ガイドラインについては「日本腎臓学会のガイドライン」のページをご参照ください。)

 

2 カリウムが少なくても身体に良くない

時折、カリウムの値を下げるために一生懸命野菜・果物を制限している患者さんを見かけます。

しかし、血液中のカリウム値は低ければ低いほど良いものではありません。

過去の報告でカリウムの値が3.0-4.0mEq/Lの人たちと、4.0-5.0mEq/Lの人たちだと、後者の方が治療成績が良かったという報告もありカリウムを制限しすぎるのも良くないとガイドラインにも記載されています。

 

3 腎臓病の中で本当にカリウム制限が必要なのは2-3割程度

慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」ではカリウム制限を腎臓病の中でもstage3b以降の患者さんに推奨しています。

腎臓病の患者さんの多くはstage3aに相当します。

様々な報告があり答えはありませんが、筆者の主観としては本当にカリウム制限が必要なのは2-3割程度と考えています。

ただし飲んでいる薬や持病によって状況は異なるので血液検査の結果をみながら判断していくと良いでしょう。

 

腎臓病に最適なカリウムの摂取量

腎機能の重症度(CKDステージ)によって推奨されている量が異なります。(「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」より引用)

  • ステージ1 制限なし
  • ステージ2 制限なし
  • ステージ3a 制限なし
  • ステージ3b 2000mg/日以下
  • ステージ4 1500mg/日以下
  • ステージ5 1500mg/日以下

 ただし、このグラムもあくまで推奨であり、個人差があります。

食生活と血液検査の結果を照らし合わせて自分にとって適切な量を見つけていく作業を医療機関では行っています。

 

腎臓病の人が避けるべきカリウムの高い食品・食材

カリウムがよく含まれる食事として、以下のようなものがあります。

レンコンやカボチャなどの野菜類、バナナなどの果物、干し椎茸、芋類、豆類などがあります。

  • レンコン
  • バナナ
  • カボチャ
  • 干しシイタケ
  • なつみかん
  • メロン
  • ほうれんそう
  • 春菊
  • イモ類(じゃがいも類)
  • 肉・魚など
  • 大豆
  • アボガド など 

野菜であれば、茹でこぼしてから食べてもらうなどの工夫をします。

カリウムを減らすためには食事の知識が必要であり、管理栄養士による栄養相談をしながら食事をとっていくことが望ましいです。

ちなみに、当院では野菜・果物を一律に制限するのではなくAJKDというアメリカの腎臓の学会誌を参考に以下の4つの制限から始めるようにしています。(「Plant-Based Diets for Kidney Disease: A Guide for Clinicians」を参考)

  • 野菜ジュース・ソースなどの液体
  • イモ類
  • ドライフルーツ
  • バナナ

その後、採血を見ながら少しずつ調整をしていきます。

葉物など比較的カリウムを上げない起きない野菜や果物は、患者さんの状態によって食べて良いと判断することもあります。

 

腎臓病に良い食事療法とは

腎臓病に良い食事療法を求めて、年間100万人以上の方が当院ホームページの食事療法のページに訪れています。

しかし、実は腎臓病に良い食事療法はこれをやればよいというものはなく、最終的には患者さんごとに血液検査の結果をみながら専門の管理栄養士が細かく微調整をしていくのが望ましいです。

慢性腎臓病の患者さんは日本に1500万人ぐらいいると言われており、全員が同じ食事療法を行う訳ではありません。

日本腎臓学会のガイドラインでも患者さんごとに必要な食事療法は異なるため必ず個別化するように触れられています。

 

カリウムの治療に対する当院の考え方

よくカリウムはダメと過剰に反応して、野菜・果物を全く食べなくなる患者さんをよく見かけます。

腎臓の食事療法は食事制限ではありません。個人的には、可能な範囲で野菜・果物を制限しないようにすることを推奨しています。

野菜・果物にはカリウムだけでなく体に必要な食物繊維やビタミンが含まれており、これらを制限するのは望ましくありません。

主治医と協力して、血液検査でカリウムの値をみて、個別で野菜・果物の量を決めていくことが望まれます。

腎臓病の食事の治療であれもだめ、これもだめと言われて何を食べたらよいか分からなくなり、極端な食事療法を行ってしまう患者さんが一定数いらっしゃるためです。

 

遠慮なくご相談ください

赤羽もり内科・腎臓内科 「森 維久郎」

いかがでしたでしょうか?

腎臓の患者さんでは、食事でお悩みを抱えている方が一番多く、周りに相談できる人が少ないため一人で戦っている患者さんが多くいます。

腎臓の食事療法は「あれもダメ、これもダメ」となりがちですが、「これは食べても大丈夫」と食べるものを見つけていく食事療法をしていきたいと思っていますので、気軽にご相談ください。

当院では管理栄養士が4名在籍しており、腎臓の食事についてご相談にのることが可能です。

小さなクリニックではありますが、年間延べ10000人の患者さんを診療しており、栄養指導も年間2400件ほどおこなっております。

腎臓にお悩みであればまずはお気軽にご相談ください。

もし当院の診療にご興味がある場合は、以下の紹介ページご覧ください。

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