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IgA腎症とは?原因・症状・治療方法について解説

こんにちは、赤羽もりクリニックの院長の森 維久郎です。

今日は、IgA腎症(アイジーエーじんしょう)という病気について解説します。

IgA腎症の患者さんは当院でも通院されている患者さんが多く、病気について理解が難しいとご相談頂くことが多い病気です。

なるべくわかりやすく解説できればと思いますので是非最後までお読みください。

IgA腎症とは ~病態と原因~

IgA腎症は体の免疫の異常によっておきる腎臓の病気です。

IgAという免疫の物質は、気道や腸などの粘膜でウイルスなどから身を守る働きをします。

この外敵から身を守るIgAが何らかのメカニズムで自分の腎臓を攻撃してしまう病気がこのIgA腎症です。

 

IgA腎症の予後

IgA腎症の予後はあまり良くなく、診断から20年で約半分の方が透析や移植が必要になると言われていました。

実際、日本で透析になる人の10%-20%がこのIgA腎症が原因で透析になっています。

ただし、近年日本から生まれたIgA腎症の治療によって予後が改善することが期待されています。

 

IgA腎症の症状 ~初期は症状が出ない~

IgA腎症の初期~中等症まで全く症状はなく以下のような原因で見つかることが多いです。

  • 健康診断などで尿タンパクや尿潜血を指摘されて見つかる。
  • 風邪をひいた後に、肉眼で見えるコーラ色の血尿があり見つかる。

IgA腎症は年単位のゆっくりしたスピードで障害が進み、あまり目立った症状がないので、放置されて重症化してから見つかることが多い病気でもあります。

参考

 

IgA腎症の治療 ~ステロイド療法から最新治療まで~

IgA腎症の治療は、コンセンサスがまだなく施設・医師によって考え方が変わります。

IgA腎症で行う治療は主に以下の4つです。

  • ステロイド療法
  • 手術(扁桃摘出)
  • 上咽頭処置
  • 保存的加療

保存的加療はすべての患者さんで行いますが、残りの3つは状況や担当する医師の考え方次第です。

 

・ステロイド療法

ステロイド療法は全身の免疫を抑え込む治療です。

IgA腎症以外の免疫の病気でもよく行われる治療です。

腎臓で起きている過剰な免疫を抑え込むことで腎臓を守ります。

ステロイド療法は治療の効果としては優れていますが、副作用との戦いであり、メリット・デメリットを天秤にかけて治療を行います。

 

・扁桃摘出術 ~扁桃腺を取り除く~

IgAを作る扁桃腺を手術で取り除くことで治療する方法です。

扁桃腺は小児では、重要な役割を果たしますが、小学生くらいになるとあまり役割を果たさないため、成人の患者さんで摘出しても問題ありません。

手術は全身麻酔で、1~2時間ほどで行われます。開口器で口からアプローチして扁桃を摘出します。入院期間は7〜14日程度です。

 

・上咽頭処置 ~最新治療として注目~

上咽頭処置は、ここ数年で施設によっては行われ始めている治療です。

まだまだコンセンサスのある治療ではありませんが、ステロイド療法や扁桃の手術を行っても良くならないときに行われています。

上咽頭という場所に、鼻・口から特別な薬剤をつけた綿棒で擦ることで治療を行います。

学会などでも注目されている治療ですが、かなり痛いという声もあり途中で辞めてしまう患者さんも多いようです。

 

参考

 

・保存的加療

IgA腎症の患者さんすべてで行われる治療で、以下のようなものがあります。

  • 食事療法:塩分制限、タンパク制限
  • 運動療法:適度な運動
  • 生活習慣:禁煙、適切な睡眠 など
  • 薬:RAS系阻害薬とした血圧の治療 など

あまり有効性は明らかではありませんが、ジピリダモール、チクロピジン、アスピリンなどの抗血小板薬やエイコサペンタエン酸と呼ばれるエパデール・ロトリガなどのN-3脂肪酸なども少なからず効果があると言われています。

参考

 

IgA腎症の最新情報(私見を含む)

近年注目を浴びている腎臓の保護薬「フォシーガ(SGLT-2阻害薬)」に関して、IgA腎症に対してより効果的な可能性があるという報告が出ています。

まだコンセンサスは得られていませんが、今後動向として注目に値すると考えます。

参考

 

さいごに

IgA腎症は自覚症状が現れにくく、放置すると腎機能低下が進行しやすい病気です。

しかし、早期から適切な検査・治療を行うことで、透析導入を遅らせたりQOLを維持することが可能です。

赤羽もりクリニックでは、専門医による定期的な尿検査・血液検査に加え、腎機能を保護する薬の処方も可能です。

ステロイド療法や扁桃摘出、上咽頭処置などの最新治療が必要な場合は連携病院をご紹介させていただきます。

ぜひお気軽にご相談ください。

もしご興味がある方は以下のページを御覧ください。

この記事を監修した医師
森 維久郎

赤羽もりクリニック院長、日本腎臓学会腎臓専門医。人工透析を減らす診療をコンセプトに年間1万人以上の外来診察を行う。 情報発信に力を入れており、合計4冊書籍を出版、YouTubeチャンネル「じんぞうの学校」を運営、チャンネル登録者3万人以上。 

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