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腎臓の働きが悪くなると

[2025.06.15]

赤羽もりクリニック院長の森 維久郎です。

今日は腎臓の働きが悪くなるとどうなるのかについてお伝えしていこうと思います。

腎臓は単に尿を作る地味な臓器だと考えられてきましたが、近年様々な研究でその多様な働きが解明されて、NHKの特集でも「人体ネットワークの要! スーパースター」として取り上げられるほど、心臓、腸、骨などの様々な臓器と関わっていて体全体をコントロールしていることがわかりました。

腎臓の働きが悪くなり、役割を担えなくなると全身に様々な合併症が起きて、対策が必要になるのでその点にお伝えしようと思います。

腎臓の働き

腎臓の働きはシンプルにまとめると

  • 不要なものを体の外に出す
  • 必要なものを体にとどめておく
  • 体に必要なホルモンなどを作る

の3つがあります。

腎臓には糸球体(しきゅうたい)という場所と尿細管(にょうさいかん)という場所があって、それらの緻密な構造によってその役割を果たしています。

糖尿病や高血圧などによって腎臓の働きが悪くなると、この3つの働きが低下して全身に様々な症状や合併症を引き起こします。

 

筋肉が衰える

腎臓の働きが悪くなると、筋肉量や筋力が低下しやすくなり、健康な人と比較して身体機能が7割程度になると言われています。

結果、寝たきり、サルコペニアになる確率が高くなり、例えば慢性腎臓病ステージ5の患者さんは健康な人と比べて、寝たきりになる確率が約5〜6倍になると言われています。

ほんの10年前まで慢性腎臓病の患者さんは、運動をしてはいけないと言われていましたが、ここ数年で筋力を守るため積極的に運動をしていきましょうと考えられています。

腎臓リハビリテーションという概念も生まれており、万歩計や歩数手帳を使って運動を促す流れになっています。

 

水分が身体に溜まる

腎臓では、脱水の時には尿から水分を出さないように、水が多い時は尿から水分を出すように調整する機能があります。

働きが悪くなると水分が排泄されず足が浮腫んだり、進行すると肺や心臓、全身に水が溜まり呼吸が出来なくなったりや心不全の原因となります。

 

ミネラルの異常が起きる

腎臓は、尿細管という緻密な構造を持つ箇所でナトリウム、カリウムなどミネラルを調整する役割を担います。

腎臓の働きが悪くなるとミネラルの調整異常が起きて、様々な異常をきたします。

特に大切なのはカリウムというミネラルが溜まる高カリウム血症、重炭酸イオンが不足して体が酸性になるアシデミアは、重症化すると死に至るため注意が必要です。

 

血圧が上がる

腎臓では、体の水分や塩分の調整や、レニンアルドステロンと呼ばれる血圧をコントロールするホルモンを調整する働きがあります。

腎臓の働きが悪くなるとこの調整に障害が起きて血圧が上がりやすくなります。

慢性腎臓病では、半数以上の方に高血圧があり、重症度が増すと複数の血圧の薬を飲まないと血圧が下がらなくなります。

 

骨が脆くなる

腎臓は活性型ビタミンDと呼ばれる、 腸からのカルシウムの吸収を促すビタミンの調節に関わります。

腎臓の働きが悪くなると活性型ビタミンDの調整が出来なくなり、血液中のカルシウムが低下します。血液中のカルシウムが低下すると、骨を溶かしてカルシウムを補おうとするため、骨が脆くなりやすくなります。

単に骨が脆くなるだけでなく、骨を溶かした際に一緒に出てくるリンという物質は、心筋梗塞の発症を増やしたり、腎機能低下を引き起こすと言われています。

腎臓病のことのミネラル異常を「CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常)」と呼びます。

 

貧血になる

腎臓は、エリスロポエチンと言うホルモンを分泌します。

エリスロポエチンは骨髄という血液を作る臓器に作用して血液を作らせる役割があります。腎臓の働きが悪くなるとこのエリスロポエチンが不足して、貧血になります。

腎機能が低下して起きる貧血を「腎性貧血(じんせいひんけつ)」と言います。

腎性貧血は、単に貧血症状が起きるだけでなく、心臓や腎臓を障害するので、腎臓が悪くなると定期的にエリスロポエチンを補充する治療を行います。

 

その他

代表的な物を色々挙げましたが、その他に腎臓が悪くなると以下のような異常が起きます。

  • 腸内環境が乱れる
  • 睡眠の質が落ちる
  • 頻尿になる など

腎臓が悪くなると、薬が増えていくのは全身に様々なことが起きるのが原因です。

 

さいごに

いかがでしたでしょうか?

この記事では、腎臓の働きが悪くなると身体にどのような影響が出るのかについてお話ししました。

腎臓は「おしっこをつくるだけの臓器」ではなく、筋肉、血圧、骨、ミネラルバランスなど全身の健康を支える重要な役割を担っています。

腎機能の低下は気づかないうちに進行し、気づいたときには複数の合併症を抱えてしまうケースも少なくありません。

「最近むくみが気になる」「健康診断で腎臓の数値が悪いと言われた」「何から対策を始めればいいか分からない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

赤羽もりクリニックでは、腎臓専門医と管理栄養士が丁寧に症状を伺い、あなたのライフスタイルや病状に合わせた適切な検査・治療・生活指導を行っています。

一人で不安を抱え込まず、専門家のサポートを受けることで、より良い健康状態を維持していきましょう。

当院の診療について詳しく知りたい方は、下記の当院紹介もあわせてご覧ください。

この記事を監修した医師
森 維久郎

赤羽もりクリニック院長、日本腎臓学会腎臓専門医。人工透析を減らす診療をコンセプトに年間1万人以上の外来診察を行う。 情報発信に力を入れており、合計4冊書籍を出版、YouTubeチャンネル「じんぞうの学校」を運営、チャンネル登録者3万人以上。 

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