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実はかゆみは初期症状ではない?腎臓病の本当のサインは“尿の変化”

[2025.08.09]

こんにちは、赤羽もりクリニックの院長の森 維久郎です。

今日は「腎臓病とかゆみの関係」についてお話しします。「最近、肌が乾燥してかゆい」「原因不明のかゆみが続いている」とお悩みの方は、もしかすると腎機能の低下が関係しているかもしれません。

かゆみは単なる皮膚の問題と思われがちですが、腎臓からのサインとして現れることもあるのです。ぜひ最後までご覧いただき、見逃されがちな腎臓病のサインに気づくきっかけにしていただければと思います。

かゆみはいつから出る?腎臓病における症状の現れ方と注意点

皮膚の「かゆみ」は、慢性腎臓病の患者さんにしばしば見られる症状ですが、かゆみは初期症状ではなく、腎機能が大きく低下してから出現する傾向があります。

多くの場合、かゆみは腎臓の機能が著しく低下したり、透析を受けている段階で見られることが多く、進行した腎障害のサインの一つとされ、腎機能の悪化を示す重要な症状といえます。

注意点

・「かゆみ=乾燥肌」と思い込み、皮膚の保湿だけで済ませてしまうと、慢性腎臓病の見逃しにつながる

・かゆみが広範囲・長期にわたって続く場合、皮膚科だけでなく内科的な評価も必要

・高齢者ではかゆみが腎機能低下の唯一の自覚症状であることも

腎臓病でなぜかゆくなる?

腎臓の機能が低下すると、体内に本来排泄されるべき老廃物が蓄積します。この結果、かゆみを引き起こす物質が血液中に増加し、皮膚に刺激を与えると考えられています。

さらに、腎臓病患者では皮膚の保湿因子や皮脂の分泌が低下することが知られており、乾燥が悪化するとかゆみが増強されます。

かゆみの部位(腕・背中・全身)と原因物質

慢性腎臓病によるかゆみは、特定の部位に集中することもあれば、全身に広がることもあります。特に慢性腎臓病(CKD)の進行期や透析患者に多く見られ、QOL(生活の質)を大きく低下させる症状のひとつです。

背中(肩甲骨の間など)
もっとも多く訴えられる部位。
・特に夜間や入浴後に強くなることが多い。
上腕・肘の外側
乾燥が強く、皮脂腺が少ないためかゆみが出やすい。
腰・脇腹・太もも
摩擦や衣類との接触で刺激を受けやすく、慢性的なかゆみにつながる。
全身(特に広範囲な背面)
腎臓の機能が著しく低下したり透析中の患者に多く、睡眠障害を起こす原因にもなる。

かゆみが長く続くときは、肌以外の原因が隠れていることもあります。腎臓の働きとの関係があるかどうかを調べるために、尿検査や血液検査で状態をチェックしてみましょう。

腎臓病の初期症状とは

腎臓病は初期には自覚症状が非常に少ない「沈黙の臓器」といわれています。そのため、症状が現れたときにはすでに進行しているケースが多く見られます。

特に見逃されがちな初期症状のひとつが「尿の変化」です。詳しく知りたい方は、以下記事に初期症状と尿の変化で重要なポイントについて記載しているのでご覧ください。

参考記事腎臓病の初期症状 ~意外と知られていない初期症状は〇〇!!~

慢性腎臓病とは?原因と進行の仕組み

慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の機能が徐々に低下していく状態を指し、「腎臓に障害がある」もしくは「腎臓の働きが低下している」状態が3か月以上続くことをいいます。特に、たんぱく尿(0.15g/gCr以上)がある場合や、腎臓のろ過力を表す数値(GFR)が60未満であると、慢性腎臓病と診断されます。

原因として多いもの

糖尿病:糖尿病により血糖値が高い状態が続くと、腎臓の糸球体(血液をろ過するフィルター)に過剰な負担が掛かります。この結果、糸球体の毛細血管がダメージを受けて、尿たんぱくが出たり、ろ過機能が低下します。

高血圧:血圧が高い状態が続くと、腎臓の血管が硬く・狭くなり、血流が悪化。そのため高血圧が続くと血管が損傷して、腎臓がダメージを受け、腎機能低下につながります。

腎臓の働き

腎臓には、1日におよそ1,500Lもの血液が流れ込み、その中から約150L分の水分(原尿)をこして、体に必要なものは再び吸収し、いらないものだけを尿として約1.5L排泄。さらに腎臓は、血圧を調整したり、赤血球をつくるホルモンを出したり、骨の健康を保つ働きもあります。

腎臓病のチェック方法

慢性腎臓病では、尿に以下のような変化が現れることがあります。

・泡立ちが強くなる(たんぱく尿の可能性)
・尿の色が濃い、量が少ない・多すぎる
・頻尿や夜間の排尿回数が増える

上記のように尿に変化があれば、尿検査をして確認することが大切です。

さいごに

いかがでしたでしょうか?

当記事では、腎臓病における「かゆみ」と「尿の変化」について詳しく解説しました。

かゆみは腎臓病の初期症状ではなく、進行してから現れることが多いため、見逃しがちなサインに注意が必要です。そして、より早期に気づくためには、「尿の泡立ち」「回数の増加」「色や量の変化」など、日常生活での尿の変化を見逃さないことが大切です。

また、「朝起きたときに顔がむくむ」「靴下の跡が夕方まで残る」「夜中にトイレで何度も起きる」といった症状も、腎機能の低下のサインかもしれません。

赤羽もりクリニックでは、こうした初期のサインにいち早く対応し、医師と管理栄養士が連携して、あなたの生活習慣に合わせた検査・アドバイス・治療を行っています。「最近むくみやすい」「トイレが近くなった」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。

当院では、マンツーマンで日常の食生活を具体的に見直していけるため、慢性腎臓病が心配な方や、生活習慣について不安をお持ちの方は、どうぞお気軽に以下のバナーよりご連絡ください。

参考文献管理栄養士にも役立つ赤羽もり内科・腎臓内科式腎臓病のレシピの教科書

この記事を監修した医師
森 維久郎

赤羽もりクリニック院長、日本腎臓学会腎臓専門医。人工透析を減らす診療をコンセプトに年間1万人以上の外来診察を行う。 情報発信に力を入れており、合計4冊書籍を出版、YouTubeチャンネル「じんぞうの学校」を運営、チャンネル登録者3万人以上。 

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