クレアチニンが少し高いと言われた女性必見!腎臓病の予防について専門医が解説
こんにちは、赤羽もりクリニックの院長の森 維久郎です。
健康診断の結果を見て、「クレアチニンが少し高い」と指摘され、不安に感じている女性もいらっしゃるかと思います。
クレアチニンは腎臓の機能を知るうえで重要な指標なのですが、単に数値が高いというだけでは一概に問題があるとは言えません。
大切なのは、クレアチニン値だけで判断するのではなく、高血圧や糖尿病などのリスク要因もあわせて確認することです。
そこで、当記事では、クレアチニンが高いと指摘された女性のために、専門医の視点からその原因や予防策について詳しく解説します。
クレアチニンとは?性別と関係はあるのか
クレアチニンは、筋肉を動かすエネルギーの代謝によってできる老廃物です。健康な腎臓は、このクレアチニンを血液中からろ過し、尿として体の外に排出する役割を担っています。
そのため、腎臓の働きが低下すると、クレアチニンが十分に排出されず、血液中の濃度が高くなるのです。クレアチニンの基準値は、筋肉量によって異なり、一般的に男性は女性よりも筋肉量が多いため、基準値も高めに設定されています。
しかし、同じ女性でも筋肉量には個人差があるため、基準値内に収まっていても、以前の数値と比べて上昇傾向にある場合は注意が必要です。
ホルモンバランスと腎機能の関係
女性の体は、生理や妊娠、更年期など、ライフステージを通してホルモンバランスが大きく変動します。特に、女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、腎臓の機能に影響を与えることも。
エストロゲンには、腎臓の血管を保護する作用があるため、閉経後にエストロゲンが減少すると、腎機能が低下しやすくなることがあります。ただしホルモンの乱れだけで腎機能が悪くなることはあまりありません。
その他にコントロール不良の血圧や血糖、肥満などの要素がある場合が大半を占めます。
クレアチニンが高い状況が続くと起こること
クレアチニンが高い状態が続いているにもかかわらず、放置してしまうと慢性腎臓病(CKD)へと進行するリスクが高まります。慢性腎臓病は自覚症状が出にくく、気づかないうちに病気が進行してしまうことが少なくありません。
腎臓の機能がさらに低下すると、むくみやだるさ、貧血、高血圧などの症状が現れ、最終的には人工透析が必要になる場合もあります。
このような事態を避けるためにも、クレアチニンの数値に異常を指摘されたら軽視せずに一度、医療機関で現状の評価や今後の対策のプランを立てることが大切です。
女性の年代別で気をつけること
20~30代の注意点
20〜30代の女性で腎機能が低下することはかなり稀です。もちろん仕事やプライベートで忙しく、不規則な食生活、睡眠不足などが健康に悪影響を及ぼすこともあります。
ただし20〜30代の女性で腎機能が低下するのは、以下のようなケースが多いです。
- 免疫性疾患や遺伝性疾患などの特別な病気
- 極端に偏った食事や無理なダイエット
- サプリメントの接種
- 痛み止めの常用 など
もちろん将来の腎臓病予防のためにも、健康的な生活習慣を意識することが重要です。ただしそれ以上に健康診断で尿に異常があった場合にはすぐに医療機関に行くことであったり、過度な習慣を避けることの方が大切です。
また妊娠・出産の際には、腎機能が低下すると妊娠合併症などのリスクが高くなることもあるので、長期的な視点で予防・管理をしていきましょう。
40~50代の特に更年期で気をつけること
40〜50代になると、女性は更年期を迎えることが多くなります。この時期は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少し、その結果、以下の症状を経て腎機能に悪影響を与えることも。
- 高血圧: 閉経後のエストロゲン減少は高血圧を引き起こしやすく、腎臓に大きな負担をかけます。
- 動脈硬化: 更年期はコレステロール値の上昇などから動脈硬化が進みやすく、腎機能が低下しやすくなります。
この時期は、健康診断の数値をこまめにチェックし、異常があればかかりつけ医に相談することが大切です。
女性が腎臓を守るためにできること
タンパク質と塩分に配慮したバランスの良い食事を
腎臓の健康を守るためには、毎日の食事が非常に重要です。特に、タンパク質と塩分の摂取量に注意が必要です。
- タンパク質: 腎臓の機能が低下している場合、タンパク質を過剰に摂取すると老廃物が増え、腎臓に負担がかかります。一方で、タンパク質が不足すると筋肉量が減り、体力が低下してしまいます。腎機能障害がある場合に筋肉量は衰えやすいので要注意です。適正な量を摂取することが大切です。
- 塩分: 塩分の摂りすぎは、血圧を上昇させ腎臓の負担を大きくします。できるだけ薄味を心がけ、加工食品や外食を減らすことが効果的です。一方で塩分を減らしすぎると夏場の脱水につながることもあります。
そこで野菜、果物、穀物、良質なタンパク質をバランスよく組み合わせた食事を心がけましょう。
楽しく運動を行う
適度な運動は、全身の血行を促進し、高血圧や肥満を防ぐのに役立ちます。激しい運動はかえって腎臓に負担をかけることがあるため、ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理なく続けられる有酸素運動がおすすめです。
慢性腎臓病の主な原因を知り予防を
糖尿病に注意
糖尿病は慢性腎臓病にとって非常に多い原因の一つです。高血糖の状態が続くと、腎臓の血管が傷つき、機能が徐々に低下します。
血糖値が高めの方は食事や運動、必要に応じて薬物療法でしっかりと管理することが、腎臓を守るために不可欠です。
高血圧は放置しないで!
高血圧もまた、腎臓病の大きな原因です。高い血圧は、腎臓の血管に常に強い圧力をかけ続け、血管を硬くしたり、傷つけたりします。
血圧が高いと指摘されたら放置せず、医師の指示に従って適切な治療や生活習慣の改善に取り組みましょう。
クレアチニンだけでない数値の見方
eGFRの見方
クレアチニンの数値だけでなく、**eGFR(推算糸球体ろ過量)**も腎機能を知るうえで非常に重要な指標です。eGFRは、年齢、性別、クレアチニンの値から計算され、腎臓が老廃物をろ過する能力(ろ過量)を推測します。
この数値が低いほど、腎機能が低下していることを意味します。
参考記事: eGFRとは?eGFRと腎機能の関係性について解説
血液検査で見る腎機能
血液検査では、クレアチニンやeGFRの他に尿素窒素という毒素やカリウムなどのミネラルの量を確認することができます。
尿検査から分かる腎臓のSOS
尿検査も腎臓の異常を知るための重要な検査です。特に、尿タンパクは腎臓のSOSであり、腎臓に何らかの負担が起きている可能性があります。
血尿と一緒に検出する場合は他の病気が隠れている可能性があります。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
当記事では、クレアチニンが高めと指摘された女性の方に向けて、その原因や年代別の注意点、そして日常生活でできる予防策について解説してきました。
クレアチニンの値は、腎機能の状態を知る大切な手がかりですが、単独の数値だけで判断するのは難しく、生活習慣や他の検査項目と合わせて総合的に評価することが重要です。特に女性は、ホルモンバランスの変化やライフステージによって腎臓への影響が出やすい時期があります。
「何となく不安だけど、どこに相談すればいいのかわからない」
そんな方こそ、専門的な視点からのアドバイスを早めに受けていただきたいと思います。
赤羽もりクリニックでは、医師と管理栄養士が連携し、あなたの体の状態やライフスタイルに合わせた、無理なく継続しやすい予防プランをマンツーマンでご提案しています。
そのため、「健康診断の数値が少し気になる」「食生活を見直したい」「腎臓のことをきちんと知りたい」という方にとってお役に立てるはずですので、どうぞお気軽に以下のバナーよりご連絡ください。
参考文献:日本腎臓学会 学術委員会監修 腎疾患患者の妊娠:診療ガイドライン2017
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