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腎機能を改善させる治療 

こんにちは、赤羽もり内科・腎臓内科の院長の森 維久郎です。

今日は、腎臓病の治療についての解説記事を書きます。

腎臓病の治療は、これをやれば治るというものではなく、様々な治療を根気よく続けていくことが大切です。

薬を飲めばよくなるというものでもなく、患者さんにも生活習慣を変えるなどご協力してもらう必要があり、そのために治療の理解が必要になります。

大変ですが、この記事が理解の助けになればと思います。それではいきましょう。

【目次】

腎臓に良い薬の治療

腎臓病の薬の治療は多岐に渡りますが、一番大切なのは、血圧・血糖の治療です。

この一番大切な血圧・血糖の治療について、目標を達成できていない人が結構いらっしゃいます。

とある報告では、腎臓病の患者さんの約7割が血圧の目標が達成できていませんでした。

腎臓病の治療の話になると、様々医療情報が飛び交いますが、口を酸っぱくして「血圧・血糖が治療の基本」とお伝えしています。

そして血圧の薬「RAS系阻害薬」、血糖の薬「SGLT-2阻害薬」には腎機能を保護する作用が期待されています。

 

・血圧コントロール

慢性腎臓病を悪くしないためには、血圧のコントロールが非常に重要です。

血圧の目標は

  • 糖尿病がある方、タンパク尿が出ている患者さん→130/80mmHg以下
  • 糖尿病がなく、タンパク尿も出ていない患者さん→140/90mmHg以下

にすることが望ましいとされています。

血圧とGFR
上の図では、「血圧がしっかりコントロールされている人は、血圧が高い人に比べて年間のeGFRの減りが緩やかである」ことを示しております。

腎臓病の血圧の治療では、腎臓の糸球体と呼ばれるフィルターにかかる負荷をとる「RAS系阻害薬」と呼ばれるジャンルの血圧の薬を使うことで腎臓を保護する効果が期待できます。

ただし、このRAS系阻害薬は動脈硬化が強いときや、高齢者に使用すると腎臓を障害する可能性がありますので状況に応じた使い方が必要です。

 

・血糖コントロール

日本人で透析になる方の1番の原因となるのが糖尿病であり、しっかりコントロールをすることが透析にならないようにすることに繋がります。

目標はHbA1c7.0%以下を目指しましょう。


以前、日本人で厳格に血糖コントロール、血圧コントロール、コレステロールなどのコントロールを行ったところ、腎臓病の進行を32%食い止めたという報告があります。

腎臓病の血糖の治療では、「SGLT-2阻害薬」と呼ばれるジャンルの糖尿病の薬は腎臓を保護する効果が期待できます。

この薬は近年、大変注目されている薬で今後糖尿病がない患者さんに対しても腎臓の薬として使用される可能性があります。

 

腎臓に良い食事で腎機能低下を防ごう。

腎臓病の患者さんで一番お悩みが多いのはこの食事の治療です。

腎臓病の患者さんは一人で食事の悩みを抱えていることが多く、相談相手として管理栄養士と定期的にお話しすることをお勧めします。

食事の医療情報は多岐にわたりますが、ここでは大切な情報だけふれます。

 

・塩分を減らす

様々な治療がありますが、一番大切なのは塩分を減らすことで1日6g以下を目指しましょう。

塩分を減らすことは、血圧だけでなく心臓や腎臓にも直接的に保護する効果があります。

塩分を減らすには、だしや酢を使ったり、スパイスを使ったりして、おいしくするテクニックが必要です。

一度、専門の管理栄養士とご相談されることをお勧めします。

 

・野菜・果物を過剰にとらない

野菜・果物を含まれるカリウムは腎臓病の患者さんの場合、突然死の原因となるため患者さんによっては制限をする必要があります。

ただし、カリウム自体は腎臓を悪くしませんし、野菜・果物は腎臓を保護する可能性も指摘されています。

野菜・果物を適度にとりつつも、突然死の原因とならない程度の野菜・果物の量を見極めていく必要があります。

適宜、採血検査でカリウムの値を測定して、腎臓内科の主治医や管理栄養士と一緒に野菜・果物の量を見極めていきましょう。

当院では、野菜・果物は原則せず必要であればカリウムを上げにくくする治療をする方針にしています。

以下の3つの理由から制限するメリットよりデメリットが上回ると考えているためです。(あくまで当院の方針ですので、主治医とご相談ください。)

  • 野菜・果物に含まれるビタミンや食物繊維が腎臓に保護的に働く可能性があること
  • 腸内環境と腎障害の関係性について報告があること
  • 何より患者さんに塩分の治療に専念にして頂きたいこと など

 

 

・タンパク質を過剰にとらない

タンパク質を過剰にとると、腎障害を起こすことが知られていますので、腎臓病の治療としてタンパク制限が行われています。

ただしこのタンパク制限に関して、ここ数年学会などでも過度なタンパク制限が身体機能の低下につながっているという報告が少しずつ出ており、慎重におこなう必要があります。

ガイドラインなどでもタンパク質を制限した場合の不足したエネルギーを他の栄養素で補充することが推奨されており、経験の豊富な管理栄養士の指導のもとでタンパク制限を行うことを推奨しています。

当院の方針としては、タンパク制限については塩分の目標値を達成できている人で、若い患者さんに限り行うことにしています。

またタンパク質の中でも動物性のタンパクは控えるようにして、植物性のタンパクは控えなくても良いことにしています。

これは、タンパク制限によって得られるメリット・デメリットを考慮した上での方針であり患者さんによって推奨する人とそうでない人がいます。(あくまで当院の方針ですので、主治医とご相談ください。)

 

食事については「腎臓病に良い食べ物で腎機能の低下を防ぐための3つの基礎知識」もご参考にしてください。

 

腎臓リハビリテーション~近年注目の腎臓の運動の治療~

近年、腎臓の運動療法は「腎臓リハビリテーション」として注目されています。

腎臓病の患者さんは、健康な人に比べて身体機能が7割まで低下すると言われており、しっかりと運動をすることが望ましいです。

また腎臓リハビリテーションには身体機能だけでなく腎臓の機能を改善させる可能性があることがわかってきています。

腎臓リハビリテーションは、日本ではまだ保険適応が限定的であり、医療機関で行うことはまだできませんが、日常生活の中で歩く頻度を増やしたり、ラジオ体操をするだけでも十分効果があります。

腎臓リハビリテーション学会、腎臓リハビリテーション指導士という公式の機関・資格もできており、今後普及されていくと思います。

運動については「腎臓リハビリテーション」もご参考にしてください。

主治医と一緒に治療を考えていきましょう

腎臓病の治療は、根気強くやっていく必要があります。

正しい薬の治療、優先順位を見極めた持続可能な食事療法、腎臓リハビリテーションの3つの柱を中心に治療をしていきます。

年単位の治療になるので、主治医の腎臓内科の先生、管理栄養士、可能なら運動の専門医ともしっかりお話しをして一緒に治療を考えていくのが望ましいです。

これは私見ですが、食事の制限はなるべく少なく、その分しっかり運動をする。その上で必要な薬はしっかり飲むのが大切と考えます。

関東圏の患者さんであれば、当院でもご相談にのることも可能です。(実際、腎臓のことで当院を受診される患者さんの半数以上は県外から受診されています。)

よくある質問 ~サプリメントについて~

Q:腎機能を改善させるサプリメントはありますか?

A:よくサプリメントの相談を受けます。まず考えなくてはいけないのが、本当に腎機能が改善するのであれば医薬品として承認されるということです。

医薬品として承認されて、保険適応が通るまでには何段階もの効果・安全性を調べる検査を経て、すべてに合格をする必要があります。

例えば、コロナウイルスのワクチンが製造されてから、実際出回るまでに時間がかかるのと同じイメージと思っていただけばと思います。

また、治療は評価とセットで行うべきです。例えば、骨粗鬆症になるとビタミンDで治療をすることがあります。しかし、ビタミンDを飲みすぎた結果、血液中のカルシウムが上がり腎機能が悪くなるという事例が多々あります。

そうならないように医療機関では定期的に採血を行いますが、サプリメントで補充している場合、評価が漏れてしまうことがあります。

腎機能が低下すると、体の不要なものが腎臓から排泄されないためサプリメントのマイナスの部分の影響を強く受けることがあります。そのため個人的にはサプリメントの内服はおすすめしません。

当院の受診をご検討される方へ

現在、日本では腎臓内科医が不足しており、大きな病院を除いて腎臓を専門的に診療しているクリニックはまだ少ないです。

当院は、管理栄養士、腎臓リハビリテーション指導士、作業療法士、腎臓病を専門的にみる看護師が在籍する全国的に珍しい保存期の腎臓病患者さんのためのクリニックです。

そのため通院されている患者さんの半数程度が遠方からの受診の方です。地元に主治医の先生を作られて、数か月に1度腎臓だけを当院でみているという形で診療しています。

ご不明な点等ございましたら遠慮なくご相談ください。ご興味がある方は、こちらのページもご参照ください。

当院の腎臓内科の診療について

 
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