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腎臓に良いサプリメントは本当にあるのか?

こんにちは、赤羽もり内科・腎臓内科の院長の森 維久郎です。

当院に通院している患者さんから「腎臓に良いサプリメントはありますか?」と聞かれることがあります。

インターネットで調べてみると、

  • 腎機能を改善させるサプリメント
  • クレアチニンを下げるサプリメント
  • 腎機能を改善させる漢方

をうたっている製品もあるようですね。

当院に通院される前にこの類のサプリメントを購入したことがある患者さんも多くいらっしゃるようです。

 

そこで今回は、腎機能を改善させるサプリメントは本当にあるのか?という話をしたいと思います。

まず、結論からお伝えすると、

私が調べた論文や、日々の診療の経験からは、腎機能を改善させるサプリメントはほぼないと言えます。

ただし、時に医学的にサプリメントを使うこともあるので、その点についても少し触れたいと思います。

 

以下、私が腎機能改善のサプリはほぼないと考える理由を3つお伝えさせていただきます。

 

① 本当に効くなら医薬品になるはず

まず考えなくてはいけないのが、なぜそのサプリメントが医薬品としてではなく、サプリメントとして売られているのかという点です。

本当に腎臓が良くなるのであれば、国も人工透析を減らし医療費削減したいと考えているので、国からの認可が下り、医薬品として売られるはずです。

サプリメントを売る会社としても、医薬品の市場は大きいので、可能ならばそちらに参入したいはずです。

 

ただ、医薬品の認可が下りるまでには、何段階もの効果や副作用を調べる検査すべてをクリアする必要があります。

例えば、コロナウイルスのワクチンが実際人に打つようになるまでに、時間がかかりましたね。

とはいえ、コロナウイルスは世界中が抱える大問題だったため、安全性や副作用を調べる検査を特例的に短縮しています。つまり通常医薬品の認可を得るには、もっと多くの時間をかけ、ゆっくり効果や副作用を調べる必要があるのです。

 

つまり、医薬品は

  • 効果が高い
  • 副作用が少ない

という基準を満たしている必要があります。

医薬品ではないサプリメントは、この基準を満たしていないので、

  • 効果がない
  • 副作用が多い

可能性があります。

効果がないならまだしも、副作用が多いのはちょっと問題ですよね。

ちなみに腎臓に限らず、医師でサプリメントを飲んでいる人を見掛けたことは、あまりありません。

 

② 治療と評価はセットで行うべき

医薬品であっても、副作用がでる可能性がゼロの薬はありません。

長期的に薬を飲む以上は飲んだ後に、副作用がないかの確認をする必要があります。

さらに腎機能が低下すると、体の不要なものが腎臓から排泄されないため、薬のマイナスの部分の影響を強く受けることがあるので、さらに注意が必要です。

つまり腎臓の治療では、治療と治療の評価はセットで行うべきで、やりっぱなしは良くないのです。

例えば、腎機能が低下するとビタミンDが不足するので適宜補充する必要があります。しかし、ビタミンDを必要以上に飲んで、血液中のカルシウムが上がり腎機能が悪くなってしまうことがあります。

そうならないように医療機関では定期的に採血を行い、体の状態をチェックしています。

 

サプリメントでの治療の難点は、セットで行うべき効果・副作用の評価ができない点です。

実際診療をしていると、申告をせずサプリメントを飲み続け副作用が出る人は多くいますし、透析になってしまう患者さんも一定数いらっしゃいます。

 

③  〇〇すれば治るはほとんど危険

「〇〇すれば治る」と言われると飛びつきたくなる気持ちすごくわかります。(私も飛びつきそうになったことが多々あります。主にダイエットなど。。。)

ただ、腎臓病の治療でこれをやれば治るというものはなく、様々な治療を長期的に根気よく続けていくことが大切です。

医師が薬をしっかり選択しつつ、患者さんにも生活習慣を変えるなど、協力をしてもらう必要があります。

以下に腎臓内科学会が発行するガイドラインの内容に基づく、腎臓病の治療に必要なことを書いてみました。(ガイドラインはこちら

中には既にご存知で実践されているものも多いとは思いますが、大切なことなので、ぜひ再確認してみてください。

 

血圧・血糖が目標に達しているか

腎臓病の治療は多岐に渡りますが、一番大切なのは、血圧・血糖の治療です。

患者さんによって目標値は異なりますが、

  • 家庭血圧 125/75mmHg以下
  • HbA1c値 7.0%以下

になっているかを確認しましょう。

この一番大切な血圧・血糖の目標値を達成できていない人は、かなりいらっしゃるようです。

とある報告では、腎臓病の患者さんの約7割が血圧の目標を達成できていませんでした。

 

腎臓を守る薬の治療が選択されているか

血圧の薬「RAS系阻害薬」、血糖の薬「SGLT-2阻害薬」は、腎臓の糸球体と呼ばれるフィルターにかかる負荷をとる作用を中心として、腎臓を保護する効果が期待できます。

特に「SGLT-2阻害薬」は、ここ数年大変注目されているお薬なのですが、腎臓の知識のアップデートが遅れていると投与されていないことがあります。

ただし、これらの薬は動脈硬化が強いとき、腎機能の状態が悪い時、高齢者に使用すると腎臓を障害する可能性がありますので、状況に応じた使い方が必要です。

その他、「選択的アルドステロン拮抗薬」や「GLP1製剤」なども腎保護効果が期待されており、重症の場合は、腎機能低下で起きる酸性化を改善する重曹錠、腎性貧血を改善するESA製剤も適宜使用する必要があります。

(後日、腎臓と薬の最新情報についてまとめた記事を出す予定です。お待ちください。)

 

腎臓に良い食生活をしているか

腎臓病の患者さんで一番お悩みが多いのはこの食事の治療です。

一般的に、以下のような取り組みをされていると思います。

  • 塩分を減らす
  • 野菜・果物を過剰にとらない
  • タンパク質を過剰にとらない

塩分を減らすことはすべての腎臓病の患者さんに推奨されますが、野菜・果物やタンパク質については患者さんによって不要なこともあり、時には良かれと思って行った食事療法が害を及ぼしていることがあります。

そのため、厳しい制限を伴う食事療法をする場合は、定期的に(月に1度くらいは)医師・管理栄養士とお話して、副作用がないかなどの確認をした方が良いと思います。

食事については「腎臓病に良い食べ物で腎機能の低下を防ぐための3つの基礎知識」もぜひ参考にしてみてください。

 

腎臓リハビリテーションの勧め

近年、腎臓病で行う運動療法が「腎臓リハビリテーション」として注目されています。

腎臓病の患者さんは、健康な人に比べて身体機能が7割まで低下すると言われており、しっかりと運動をすることが望ましいです。

また腎臓リハビリテーションには身体機能だけでなく腎臓の機能を改善させる可能性があることがわかってきています。

腎臓リハビリテーションは、日本ではまだ保険適応が限定的であり、医療機関で行うことはまだできませんが、日常生活の中で歩く頻度を増やしたり、ラジオ体操をするだけでも十分効果があります。

腎臓リハビリテーション学会、腎臓リハビリテーション指導士という公式の機関・資格もできており、今後普及されていくと思います。

運動については「腎臓リハビリテーション」もご参考にしてください。

 

腎臓病チームとしっかりコミュニケーションをとりましょう

腎臓病の治療は、根気強くやっていく必要があります。

たまに診療をしていて、コメディカルスタッフの外来を勧めると手間に感じて受けられない患者さんが結構いらっしゃいます。

しかし年単位の治療になるので、最初は主治医の腎臓内科の医師、管理栄養士、可能なら運動の専門家、専門の看護師ともしっかりお話しをして一緒に治療をすることを推奨します。

しかし、過去に腎臓病チーム(医師、看護師、薬剤師、栄養士)が診療に関わった場合は、医師だけが診療に関わる場合に比べて、透析を遅らせる効果があるという研究結果があります。(詳しくはこちら

ちなみに当院では

  • 正しい薬の選択
  • 優先順位を見極めた持続可能な食事療法
  • 腎臓リハビリテーション
  • 専門看護師による腎臓病教室 など

を用意して、腎臓病チームで治療をしています。

 

サプリメントはあまり推奨しません。。。

長くなりましたが、患者さんに「サプリメント」について聞かれたら、「おすすめはしません」とお伝えしています。

サプリメントに興味が出てしまうお気持ちもわかります。

実際多くの腎臓病の患者さんが一度は興味を持たれていますし、当院の外来に通院されている患者さんからもよく問い合わせがあります。

ただし、高額のお金を払ってサプリメントを飲み、今まで診療してきた患者さんで腎機能が良くなった人は一人もみたことがありません。

腎臓の領域は、サプリメントだけでなく、効果の乏しいマッサージ機を売ったり、エビデンスに乏しい民間療法、漢方など様々な情報が飛び交っています。

あの手この手で商品を売る人達もいます。

  • 患者さんの体験記(←ちなみにインターネット上に体験記を載せるのは違法行為。)
  • 〇〇学会推奨(←〇〇学会がちゃんとしていない学会のことが多々あり。)
  • 海外では飲まれている(←事実確認が不透明。)

 

最終的にはサプリメントを買うのは患者さんの自由であり、否定はしませんし、止めもしません。

ただ、サプリメントを買う前にぜひ知っておいてほしいこととして今回まとめてみました。

ご不明な点等ございましたら、遠慮なく主治医とご相談ください。

 

よくある質問

Q サプリメントや漢方はすべて身体によくないですか?

いいえ。

状況に応じて、私もサプリメントや漢方を使うこともゼロではありません。

例1)鉄のサプリメント

鉄不足の場合、医療用の鉄材を使いますが、患者さんの中では気持ち悪くなったりする人がいます。

その場合サプリメントで売られている市販の鉄剤は、患者さんによって気持ち悪くなりにくいことがあるのでそのような場合はサプリメントでの補充を推奨します。

例2)柴苓湯

漢方の中でも柴苓湯(さいれいとう)という漢方は慢性腎炎の時に、補助的に効果を出すという報告があります。

治療のメインではありませんが、従来の治療に加えて状況に応じて補助的に使うことがあります。

柴苓湯は保険診療で処方箋で処方が可能です。

 

Q 漢方について聞きたいです。

さきほど、柴苓湯について触れましたが、漢方の中には状況によっては腎臓に対して保護的に働く可能性があるものもあります。

ポイントはそれらの漢方は、医薬品として医療機関から保険診療で処方することが可能です。

時折、西洋医学じゃ治療できないけど、東洋医学なら治療できるという訴求を見かけますが、日本の医療機関でも効果が認められれば東洋医学の処方ができます。

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