クレアチニンを下げる薬はある?腎機能が低下したときの治療薬
こんにちは、透析予防のクリニック、赤羽もりクリニックの院長の森 維久郎です。
当院に通院されている患者さんから、「クレアチニンを下げる薬ってあるんですか?」と聞かれるため一度こちらのページでまとめます。
残念ながらクレアチニンを下げる薬はない。しかし・・・。
結論から申し上げると、一度障害を受けた腎臓を再生させるような薬はまだありません。
ただし、腎臓をこれ以上悪くならないように保護する薬や、腎機能低下が原因で起きる合併症を予防する薬はあります。
ここ数年、腎臓領域の薬はどんどん進歩しており、早期に見つけて正しく治療すれば腎機能低下の進行を抑えることが少しずつできるようになってきました。
腎機能障害があまりに進行している場合は使用できないこともありますが、クレアチニン値が2.0-3.0以下の場合は腎臓を保護する薬を積極的に使用していくことが一般的です。
腎臓を保護する薬~可能な限りトライしたいお薬~
腎臓病の健康状態をよくする薬として注目されている薬はいくつかありますが、特に以下の4つが代表的です。
- RAS系阻害薬(ACE/ARB)
- SGLT-2阻害薬
- ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
- GLP-1受容体作動薬
アメリカ腎臓学会では糖尿病による腎機能障害がある場合は上記の4つの薬をしっかり入れきる(4 pillar)戦略を薬物治療の目標としています。
ただし日本ではあまり浸透していないのが現状です。
RAS系阻害薬
RAS系阻害薬は、血圧の薬の1種です。
腎臓の糸球体と呼ばれる必要なもの、不要なものをやり取りするフィルターにかかる圧を下げて腎臓を守ります。
この薬を使いながら人にもよりますが、血圧130/80mmHg以下を目指しましょう。
詳しくはこの記事の末尾に解説動画を載せておきますのでご参照ください。
SGLT-2阻害薬
SGLT-2阻害薬は血糖を下げる糖尿病の薬の1種です。
ここ数年で腎臓領域で一番の話題となった薬で、尿から糖分を出すことで血糖値をコントロールするのですが、様々なメカニズムで心臓・腎臓を保護することが分かりました。
尿路感染を起こしやすい方、ご高齢の場合は使用を控えることもあります。
薬の名前としてフォシーガ、ジャディアンス、カナグルあたりが有名です。
SGLT2阻害薬は腎臓病の治療として大変注目されていますので詳しく知りたい方は「フォシーガってどんな薬?腎臓病に効果的?医師が解説します。」をご参照ください。
詳しくはこの記事の末尾に解説動画を載せておきますのでご参照ください。
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は血圧を下げるお薬ですが、腎臓を保護する効果があり近年注目されているお薬です。
血液中のカリウムが高くなるのが難点ですが、心臓を保護する効果も期待できるため可能か限り使っていきたいお薬です。
薬の名前としてはセララ、ミネブロ、ケレンディアあたりが有名です。
詳しくはこの記事の末尾に解説動画を載せておきますのでご参照ください。
GLP-1受容体作動薬
血糖を下げる糖尿病の薬の1種ですが、近年糖尿病による腎機能障害、そして糖尿病がない場合の腎機能障害でも、腎臓病の方の健康状態をよくする可能性があり注目されています。
ダイエット効果もあることから肥満がある方には最適ですが残念ながら日本では糖尿病がない限り保険適応外となります。
当院では多くの腎臓病の患者様が受診され薬のご相談を受けておりますが、SGLT2阻害薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が投与されていない場合は積極的に投与して腎臓の保護を試みます。
(勿論人によって使った方が良い場合と、使わない方が良い場合があるので必ず主治医にご相談をしてください。)
腎機能低下で起きる合併症の薬
腎機能低下が起きると全身に様々な合併症が起きます。
合併症に正しく対処しないと周りに回って腎機能障害を起こすことがあるので注意が必要です。
貧血の薬
腎臓は血液を作るホルモンを分泌する臓器で、腎機能が低下すると貧血になります。
これを腎性貧血(じんせいひんけつ)と呼びます。
定期的にESA製剤という造血剤の投与が必要となる場合があります。
また造血剤としてHIF-PH阻害薬も新たに誕生して注目を集めています。
腎性貧血について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
カリウムの薬
腎機能が低下すると、カリウムの尿中の排出が低下し、血中のカリウムが増えてしまうことがあります。
そのためカリウムの腸から吸収を抑える治療が必要になります。
脂質の薬
腎臓病の患者さんは心臓の病気になる確率が高く、コレステロールをしっかり下げることで心臓の病気になるリスクを減らす必要があります。
特に悪玉コレステロール(LDL-C)を下げる必要があり、スタチンという種類の薬をよく使用します。
LDL-Cは低ければ低いほどよいのですが、最低でも120mg/dl以下を目標にして治療します。
ビタミンD製剤
腎臓病になると、ビタミンDに関わる物質が不足します。ビタミンDが不足すると、腸からのカルシウムの吸収が低下して、血液中のカルシウムが低下します。
このカルシウムの不足を補うために骨を溶かしてしまうの骨がもろくなります。
そのため腎臓病の患者さんは骨粗鬆症や骨折のリスクが高いと言われております。
ビタミンDを適宜補充して、骨が脆くならないようにする必要があります。またビタミンDを補充することで腎臓を守る可能性があるとも言われています。
リン吸着薬
腎臓が悪くなると、リンというミネラルが身体に溜まります。
リンが高い状態は、骨折や動脈硬化を引き起こし、最終的に心臓の病気や、脳の病気、そして腎臓の障害を引き起こすと言われています。
リンは加工食品や動物性タンパクに含まれており、それらを制限するでリンをなるべく貯めないようにします。
それでも溜まってしまう場合は、リンを腸で吸収しないようにする薬を使用します。
重曹
腎臓が悪くなると、身体が酸性になります。
酸性になることで腎機能低下を引き起こしたり、高カリウム血症を起こしてしまいます。
そのため中等症~重症の腎機能低下には重曹と呼ばれるアルカリ剤を使用します。
腎臓を保護する薬以外の治療はあるのか
腎臓を保護する薬以外の治療として以下のようなものがあります。
また、過去の研究では腎臓に対する理解を深めることが腎臓を保護することにつながることもわかっており、専門の看護師の腎臓病教室も立派な治療です。
単に薬をもらって飲むだけでなく、食事・運動などの生活習慣を改めることが腎臓の治療では大切です。
【番外編】腎臓に悪い薬はある?
腎臓が悪い時に使用しづらいお薬の中で有名なものとして以下のようなものがあります。
- ロキソニン
- 造影剤 など
ロキソニンと腎臓
腎機能が悪い時にはロキソニンは極力避ける必要があると考えられています。
メカニズムとしてはまだ完全にわかっていませんが以下のようなものが考えられています。
- 腎臓の入り口の血管が狭くなり、必要な血液が流れなくなる。
- アレルギーの反応で腎臓が障害される。
医療の現場では、以下の5つの要素が複合的に重なることで腎機能障害が起きることが多いです。
- 高齢者
- 脱水
- 血中カルシウム値が高い
- 心不全、ネフローゼ、肝硬変がある
- 腎臓の血流を下げる血圧の薬をのんでいる
特に、「夏場に痛み止めを飲み、更に骨粗鬆症があってカルシウム製剤を飲んでいる、おばあちゃんが、脱水になって腎臓が悪くなった。」みたいなのが定番です。
対策としては、以下のようなものがあります。
- 水をしっかり飲む
- 血液検査、尿検査を適宜する。
ロキソニンは飲むとき、特に夏場は腎機能が悪くなる可能性があることを知り、水分補給をしっかり行う必要があります。
そして定期的に採血検査などで自分の腎臓の状態を把握することが大切です。
造影剤と腎臓
腎臓病の患者さんは造影剤によって、腎蔵の障害が進行する可能性があります。
造影剤を使うことで得られるメリットと腎臓の障害のデメリットを天秤にかけて検査を行うかを決めます。
ただし、造影剤を使うときは緊急性の高い病気が疑われる場合や、癌が疑われる場合が多く、時にメリット・デメリットの判別が難しいことが多くあります。
明確な基準はありませんが、eGFR30以上の患者ではリスクはゼロではないが非常に稀であるという報告もでており、近年では、正しい診断を行うために可能な限り造影剤をしっかり使っていくべきだと考えられています。
もっと詳しく腎臓の薬について知りたい方へ

いかがでしたでしょうか?
残念ながら「クレアチニンを直接下げて腎機能を改善させる」薬はまだありません。
しかし腎機能をこれ以上悪くしないようにする薬、食事、運動療法を組み合わせることで透析を遅らせることが可能になることがあります。
特に近年の腎臓病領域での創薬の進歩により多くの方が恩恵を受けることができるようになりました。
一方で、これらのお薬は使った方が良い場合と逆に使わない方が良い場合の選択が難しく、適切に処方されていないのも事実です。
もっと詳しく知りたい方は以下の動画で
腎臓を守るお薬が使えるケース
メリット・デメリット
腎臓を守るお薬の注意点 など
についてまとめています。
ご興味がある方は一度ご覧になってください。
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